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2010年7月 7日 (水)

詭弁者小野善康をブレーンに仰ぐ菅政権の危うさ

 選挙戦の高まりを見せることなく、参院選にむけた選挙戦もはや終盤。

 昨日の夕方は、ジャイアンツのユニフォームを模したTシャツ隊に混じって、「たちあがれ日本」の中畑清氏が名駅前で演説していた。

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 そんな参院選、良くも悪くも争点が消費税に集約されてしまった感がある。

 「消費税の増税も視野に入れた財政健全化」が、重要な課題であることは間違いない。しかし、普天間問題を含めた外交・防衛、子ども手当てなど民主党マニフェストの是非の再点検など議論すべき点は多々あるにもかかわらず、一つのボールに群がる小学生のサッカーのような状態は、いただけない。

 いずれにしても、「消費税率10%アップ」はすっかり引っ込めた感がある菅政権ではあるが、菅首相が所信表明演説で強調していた「強い経済、強い財政、強い社会保障」が、この政権の経済・財政政策における骨子というのは、間違いなかろう。

 これを裏で支えているのが、菅直人のブレーンといわれる経済学者、小野善康氏である。菅直人首相が連発する、「第三の道」とは、彼が提唱した理論である。

『民主党は何のために消費税を10%に引き上げるのか 

 ~菅首相ブレーンの小野善康・大阪大学教授に聞く 』

http://diamond.jp/articles/-/8668

 小野善康氏によると、「第一の道」は国債などを発行して公共事業を実施し、雇用増加と消費増加を図るもの、一方「第三の道」は、増税して医療・介護・環境分野などを育成し、雇用増加と消費増加を図るもの、としている。

 「第一の道」、「第三の道」のいずれも、政府が雇用を創出することで消費意欲を喚起する、という点では同じではないか、という印象を持つが、

 小野氏の理論(詭弁?)によると、「政府は、自分の懐に入れない、全額雇用対策に回す、と宣言すべきだ。人は必ず雇用されるとわかっていて、なおかつ実際に雇用されれば、消費は増える。」

 とのことだ。「人が必ず雇用されるとわかっている」状態とは、20世紀に東側の世界が実験した(まだ東アジアの某国では実験中)の、「社会主義国家」に他ならないのではないか?

 そして、この壮大な実験は、1990年代を迎えようとするときに崩壊し、すでに世界史的に「失敗であった」というのが共通認識だ。

 にもかかわらず、またこうした理論が顔を出し、なおかつ政府の中枢に影響を及ぼす、というのは看過できない事態だ。

 また、菅首相は「強い社会保障」の実現というが、根本的な方針転換がなければ、医療・介護分野などの産業が成長するということは、それだけ政府の支出が増えることにつながる。

 こうした懸念に菅直人首相は、スローガンのように「強い経済、強い財政、強い社会保障」と唱えるだけで、(少なくとも私の知る限り)どのように財政健全化と強い社会保障を両立させるのか、明らかにしているとは言い難い。

 上記記事のインタビュアーも、

 「政府事業を行うのは、「第一の道」も同じだ。「第三の道」の違いは、道路建設などの公共事業ではなく、介護・医療・環境などの成長分野で政府事業を行うことか。」と問い質しているが、これに対して小野氏は

 「重要なのは、誰にも成長分野など分からない、ということだ。私にも、分からない。政府にも分からない。だから、どんな分野におカネを使ってほしいのか、政治家は国民に聞くことこそが大事だ。その多数決で判断すればいい。道路が必要だという人が多ければ、道路を作ればいい。」

 と、何が具体的な成長分野なのかの明言を避けている。しかし少なくとも上記発言からわかることは、「どんな分野におカネを使うかは、多数決で決めろ」という点である。

 一見もっともらしい意見だが、現実社会をまったく理解しない学者らしい妄想である。米国のグーグルやアップルの躍進は米国国民の多数決で決まったものか?韓国のサムスン電子の躍進、特定分野への集中投資は、韓国国民の多数決で決まったのか?

 さらに見逃せないのが、小野氏と菅直人首相のいずれも、企業による自由な営利活動を、「第二の道」として敵視していることである。小野氏曰く、

 「第二の道」は、小泉構造改革路線だ。規制緩和を通じて競争を促進し、生産性を向上させ、経済の体質を強化する。つまり、民間企業の効率性を重視し、政府の役割を縮小し、財政はカットする。

 とした上で、上記のような自由な企業活動による経済活性化や、それとともに実現する「小さな政府」に対して否定的な見解を述べ、(「第一の道」と何ら変わりがない)「第三の道」を提唱している。

 菅直人もこれに毒されたのか、若かりし頃から引きずっている「資本家敵視」の思想に基づくものか、日産のカルロス・ゴーン氏を街頭演説でこき下ろしている。

『菅首相 日産ゴーン社長を「首切り上手」と批判』

http://www.j-cast.com/2010/06/21069238.html

 これに対して池田信夫氏は、ゴーン社長を単なる「コストカッター」と断定することに疑問を呈しつつ、「一国の首相が、企業の経営者を名指しで「首切り上手」などというのは、ほとんど名誉毀損である。菅氏はいつもこの嘘を繰り返している。」と、強烈に批判している。

池田信夫blog 『ゴーン社長は「首切り上手」か』

http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51435689.html

 さらに同氏はTwitter上で、

 「菅首相「財政が破綻したとき、誰が困るかご存じですか。あの大金持ちのカルロス・ゴーンさんは、(日本から)いなくなりゃいいんですよ、簡単なんですよ」 http://ow.ly/26zUj

 という菅首相の言葉を引用した上で、

 「リストラで企業を再建した経営者を口をきわめて罵倒する首相に、財政のリストラができるとは思えない。 」

 と菅直人首相の資質そのものに、大いなる疑念を抱いている。

 このように、詭弁を弄する経済学者小野善康氏をブレーンに仰ぎ、彼に共感している菅直人首相。彼がイニシアチブを取る経済政策、財政政策に深い懸念を抱かざるを得ない。

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コメント

はじめまして。トラックバックいただきましてありがとうございます。確かに参謀を誤って国を滅ぼした王や武将は数知れずです。

第三の道はどうやら、所得再配分を進めることで、消費性向の低い金持ちから、消費性向の高い貧乏人に所得を移転させ、国全体の消費を向上させて景気を拡大する作戦のようですよ。所得配分の方法として、労働集約的な介護分野などで雇用を創出し、労働市場の需給ギャップも解消する狙いもあるようです。
拡張的財政と大きな政府を主張するケインジアンでもなく、財政規律と小さな政府を主張する新古典派経済学でもなく、財政規律と大きな政府を主張するので第三の道となるようですよ。

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