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2010年4月17日 (土)

「ゆうちょ」預入限度額UPと「総量規制」で官製不況に突入か?

 今回は、金融と中小企業の資金繰りを巡る話題。

 私自身は、金融機関に身を置いていたわけではないので、俄か仕込みの知識であるのが、いずれも今後の中小企業の資金繰りにマイナスの影響を及ぼすであろう、重要な事柄であるので、ここに書き記し、今後もアンテナを張って行きたい。

 まず第一は、亀井大臣がぶちまけた「ゆうちょへの預入限度額2,000万円への増額」。この件については、「民業圧迫」という声が根強いので、詳しく述べるまでもないだろう。

 「親方日の丸」の看板を背負ったゆうちょへの預入金額が増加するということはすなわち、地元経済を支える地銀・信金・信用組合などへの資金流入が減るということに直結する。ひいては、これらの金融機関からの借入れを行っていた中小企業や個人事業主は、今まで以上に借入れが困難になる事態が予想される。

参考)

『「ゆうちょ預入限度額2000万円へ増額」は正しいか?!』 ―前田拓生

http://news.livedoor.com/article/detail/4683402/

 そしてもう一つ、6月18日に完全施行が予定される「改正貸金業法」の根幹部分である、貸金業者からの借入残高の上限を年収の3分の1までに規制する「総量規制」である。

 この法律の完全施行によって、安易な借入れ(貸金業者からみれば貸付)を行うことによる多重債務者を生活破綻を防ぐ狙いがある。しかし、余りにドラスティックな改正によって、貸金業者や借り手の間で混乱が広がり、完全施行が予定されている6月にはパニックが起きるのでは、と懸念されている。

『専業主婦もう借りられない! 「総量規制」で始まるパニック』

http://www.j-cast.com/2010/04/01063480.html

『消費者金融「つるべ落とし」 政府の方針転換に期待』

http://www.j-cast.com/2009/11/16053648.html

 「消費者金融なんて金にルーズな人が利用するところ」、「健全な生活者には何ら関係がない」、という感想を持つ人も少なくないだろう(私も、そのように感じていた)。

 しかし、消費者金融は、一般消費者のみが利用しているのではない。中小企業や個人事業主が「つなぎ資金」として、これらの機関を利用しているケースが多いというのだ。

 木村剛氏の分析によると、中小企業の倒産激増の大きな要因は、2007年10年の「貸金業法」成立による、いわゆる「グレーゾーンの撤廃」だという。2007年を境に、貸金業者の貸出件数は激減して2009年には1/3となり、中小企業の倒産件数は2割増と、見事に負の相関関係が。見て取れる。

 言論プラットフォーム『アゴラ』に投稿された池田信夫氏の記事によると、

 「中小企業が浪費のために資金を借りることはありえない。こうした資金のほとんどはつなぎ資金で、手形が落ちる半年先には返済できるものも多い。」ということを前置きしつつ、

 「特に最近、増えているのは、昨年のアーバンコーポレーションのような黒字倒産です。(中略)最後の安全弁になっていたノンバンクがなくなたっため、solvent but illiquidな企業(注:健全であるが流動性不足に陥った企業)の倒産が増えています。」、と指摘している。

参考)

『中小企業を追い込んでいるのは「リーマンショック」ではない』

http://agora-web.jp/archives/758419.html

 このように、中小企業や個人事業主の柔軟な資金繰りの芽を摘みかねない「貸金業法」の完全施行を前に、金融庁は「借り手の目線に立った10の方策」を発表した。

http://www.fsa.go.jp/singi/seisaku/seisaku/siryou/20100407.html

 この資料によると、「個人事業者が提出する事業計画書等の記載事項の簡素化」、「個人事業主の安定的な「事業所得」を総量規制における「年収」としての参入」が盛り込まれ、一定の改善が施されたように見える。

 しかし、ある貸金業者の幹部は、「収入が定期的なのか、判別は容易ではない」と話すなど、その実効性には疑問符が付けられているという。

『「総量規制」で個人事業主ピンチ 民主党が金融庁方策に噛みつく』

http://www.j-cast.com/2010/04/12064251.html

 また、後段には「政策金融機関を含めた金融機関に対し、中小企業、個人事業者に対し、「適切な資金供給」に努めることを要請」とあるが、どこまでの実効性があるのかは疑問だ。

 さらには、「健全な消費者金融市場の形成」と称して「消費者向け貸付について、銀行・信金等による社会的責任も踏まえた上での積極的な参加が望まれる。」といった記述もあり、「貸金業者=悪」、「銀行・信金等=善」といった考えが見え隠れしている。

 このように、貸金業者は「改正化資金業法」の完全施行にますます追い込まれることは必至の情勢だが、果たしてその受け皿として銀行・信金等が機能するのか?

 世の中を「清き水」にしようとする余り、そこに生息する魚(中小企業や個人事業主)にとって、棲みにくい世の中になってしまうのではないか、そうした状況が大いに懸念される。

 亀井金融大臣は中小企業の資金繰り円滑化のため、川下(銀行窓口)部分にのみ対策を講じているが、資金の流れという川上への対策を疎かにはしていないか?完全施行後の推移を見守って行きたい。

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