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2009年12月16日 (水)

「政治主導」は現代版「統帥権干犯」?

 本日は、『中小企業診断士えんさんの視点!』はお休み。その代わり、『文学部歴史学科卒業えんさんの視点!』をお送りする。

 「君は日本国憲法を読んでいるか?」

 14日夕方の記者会見で、中国の習近平国家副主席の来日に際し、天皇陛下との会見がいわゆる”1か月ルール”にのっとらない形で行われることになったことに関する記者の質問に対し、小沢一郎はこう反論した。

 「天皇の行為は何て書いてある?それはどういう風に書いてある、憲法に。国事行為は、内閣の助言と承認で行われるんだよ。天皇陛下の行為は、国民が選んだ内閣の助言と承認で行われるんだよ、すべて。それが日本国憲法の理念であり、本旨なんだ。」

 厳密には、外国賓客と天皇との会見は国事行為ではないようだが、それを抜きにしても小沢一郎の異常性は、上記発言の端々から窺える。

参考記事) 『特例会見問題 「国事行為」ではなく「公的行為」 必要ない内閣の助言』

12月16日7時57分配信 産経新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091216-00000060-san-pol

 小沢一郎によれば、天皇陛下の公的なあらゆる行為は、「国民が選んだ内閣の助言と承認」で行われるものであり、いわば天皇陛下は主権たる国民が選択した政府の下部機関と言うわけだ。

 そもそも日本国憲法第1章第1条において、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」あるように、天皇の地位は日本国民が「健全さ」を保ち続けていることを前提として、その地位を保証されているといえる。

 その主権者たる国民の代表である国家議員、それも権力の中枢にある人間が、健全な愛国心と教養を保持していないとなると、その地位は大変危ういものとなってしまう可能性がある。

 同日の記者会見においては、「体調がすぐれないのであれば、それよりも優位性の低い行事を休めばよい」という趣旨の発言もあったが、一体その優先順位を誰が決めるのか?

 宮内庁の羽毛田信吾同庁長官がその後の記者会見でも発言していた通り、「国の大小とか政治的重要性とかにかかわりなくお務めを果たすこと」こそ大御心に通じるものであり、大国優先でスケジュールを調整されたら、それこそ世界中から顰蹙(ひんしゅく)を買うことになるだろう。

 もしくは、小沢一郎は「宮中祭祀などを後回しにして、外国要人との会見を優先すべし」、とでも考えているのではないだろうか。そうであれば、ますます彼の考え方は危険きわまりない。今後「内閣の助言と承認」に小沢一郎の意向が反映されるのであれば、それこそ天皇が「内閣の下部機関」に貶められてしまうおそれがある。

 また、記者会見での彼の発言をみると、「政治主導」こそ絶対善であり、「たかだか宮内庁の1役人が、政治に口を出すな」と言わんばかりの恫喝が目に付く。「もしどうしても反対なら、辞表を提出した後に言うべきだ。」という発言は、その最たるものといってよい。

参考ブログ)『これが「政治主導」?』 2009年12月14日 (月)

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/post-fa47.html

 かつての日本においても、「憲法」を盾にとって暴走した集団があった。言うまでもなく、日本陸海軍である。「軍の暴走のみが戦争を引き起こし、日本を敗戦に導いた」、というつもりはないが、少なくとも本来は「軍令」のみに適用される統帥権が、「軍政」にまで及んだ結果として、時として軍部が政府決定や方針を無視し、政府はそれを止める手段を失ったことは歴史的事実である(いわゆる「統帥権干犯」問題)。

参考)「統帥権(Wikipediaより)」

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%B1%E5%B8%A5%E6%A8%A9

 前の大戦の反省から、日本国憲法第66条には「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」と規定され、「憲法」を盾にとった軍による暴走の可能性はなくなった。しかし現在、ふたたび「憲法」を盾にとって暴走する権力者が現れようとしている。

 国を滅ぼすのは、必ずしも軍とは限らない。かつてのドイツでは、「選挙」によって選任された政党の党首が国を破滅に導いた。小沢一郎が「憲法」を盾にとって「国民が選んだ内閣だから何でも許される」、と暴走しないよう我々は十分に注視したうえで、次の参院選に臨む必要があるだろう。

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