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2009年11月 5日 (木)

日本「半導体」敗戦

 ここ最近、「日本企業は技術で勝って、なぜ経営で負けるのか?」をテーマにした書籍をいくつか読んで、そのポイントをブログに書き記してきた。

参考ブログ)

『ものづくり敗戦』 2009年7月29日 (水)

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-8ba4.html

『技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか』-2 2009年8月15日 (土)

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-3593.html

『サムスンに学ぶ。』2009年10月18日 (日)

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-910f.html

 今回読んだ本は「半導体業界」に特化したものだが、ここで指摘された内容は今まで読んだ本と驚くほど共通項が多く、半導体業界に限らない日本の「ものづくり」産業全体を貫く問題であることを、改めて認識した。

 1990年代以降、半導体業界における日本企業のシェアは下降線をたどり、1999年にはエピルーダ1社を残すのみとなった。さらに本年、そのエピルーダさえも公的資金注入が発表されるなど、かつての栄光は見る影もない。

 なぜ「半導体」産業で、日本勢は惨敗したのか?著者はずばり、「過剰技術で過剰品質でつくっている」ことにあると指摘している。こうした惨敗の状況下にあって、日本の技術者や経営者が必ず口にするフレーズが、「技術では負けていない」だ。

 さらに著者は、これら日本メーカーの「技術」の捉え方そのものに疑問を呈している。本書によると、半導体技術の技術には①要素技術、②インテグレーション技術、③生産技術の3要素があるとした上で、

 日本企業は、①の要素技術にはやたらとこだわる一方で、歩留まり向上を追求する②のインテグレーション技術、さらにはスループット(時間当たり利益)向上を追求する(=低コストでモノをつくる)、③の生産技術の分野を軽視してきたと見ている。

 すでに半導体業界の凋落が鮮明になってきた2004年、著者はとある講演で、「日本半導体業界には過剰技術、過剰品質の病気がある。それゆえ、PC用DRAMを安く大量生産する韓国、台湾、米国マイクロンテクノロジーの『破壊的技術』に敗北した。」と述べたところ、大手半導体メーカーの常務がひどく立腹したという。

 さらに著者は、日本企業がアジア勢の「低コストでものをつくる技術」を、単なる「規模の経済」によって実現した、一段低い「低級な技術」との見方をしていた点を、問題視している。以前のブログでも紹介した、インドのタタ自動車による20万円台の自動車同様、半導体においても「低コストでつくる技術」は、簡単には真似できない高度な技術であり、「コストと技術は別物ではない」ことを、著者は強調している。

 同書の後半で、著者は家電分野におけるBRICs諸国での日本メーカーの存在感の薄さを、現地の視察を通じて実感している(インドにおけるスズキを例外として)。

 このような状況に対して、「日本エレクトロニクスは、ただ、作ったものを売っているだけである。サムスン、LG、ノキアは売れるものを作っている。」とした上で、「この差は、計り知れないほど大きい。」と述べている。まさに、「技術で勝って経営で負けている」状況だ。

 著者は、1980年代に大型コンピュータ用DRAMの生産で世界シェアNo.1になった日本の半導体メーカーを、かつて地球上で最強の生物となった恐竜に例えている。恐竜が環境の変化に適応できず絶滅したように、半導体分野で日本メーカーは技術文化を変えることができず、アジア勢に駆逐された。

 同様の動きは、現在家電分野でおこりつつあり、間違いなく近い将来、自動車産業でも起こり得る話だ。

 家電や自動車産業における日本メーカーは、かつて半導体産業で辿った道を歩むことになるのか、はたまた環境の変化に対応することができるか?「愚者は経験に学ぶ、賢者は歴史に学ぶ」という言葉があるが、日本メーカーは歴史に学ぶことで、この難局をぜひ乗り切ってもらいたいものだ。

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