「闘病体験」だけで健康問題は語れない。
昨日は終戦記念日。と、いう訳でこの時期になると、「あの戦争」の記憶を忘れてはならないと、特にNHKは熱心に特集を組んでいた。
今や、戦後生まれが8割、つまり「あの時代」を体験した世代は2割ほどになり、テレビからは、「あの時代」を体験した人たちの声を、少しでも残そうという思いが強くうかがえる。
すでに終戦から64年。「あの時代」を生きた人の大半は、当時召集令状で戦地に行った青年か、民間人として空襲など「戦時下」を体験した人たちばかりだ。彼らが戦時下、さらには戦後の厳しい時代を乗り越えた上で、今の日本がある。これは紛れもない事実で、彼らに対する敬意は、いささかも損ねるものではない。
しかし、である。「闘病体験」だけで健康は勝ち取れない。「病気にはなりたくない、健康が良い」、と誰もが思う。だが、「あの闘病生活は辛かった」、と闘病生活だけをひたすら記録にとどめても、「どうすれば病気が避けられるか?」、「病気になったあと、どうすれば早期に健康に戻れるか?」は見えてこない。
それと同様に、「戦争は辛かった」、「戦時下は辛かった」という証言や、「戦争は嫌だ」、「二度と戦争を起こしてはいけない」という訴えだけを積み重ねても、「あの時代」を正しく理解するには不十分ではないか。
病気は、食生活や生活習慣などの内的な要因と、ウィルスの蔓延や大気・水の状態などの外的要因が絡み合って発生する。また、突然の事故に巻き込まれる、ということもありうる。
それと同様に、なぜ戦争が勃発したか、また始まった戦争が早期に終結されなかったのか、さらには軍人のみならず、民間人がかくも多数の犠牲になったのか、正しく理解するのは「現場の声」を拾い集めただけでは不十分だ。
たびたびこのブログで指摘している「見えないもの見る」、「俯瞰的に見る」、「構造的に見る」ということが苦手な「日本人の弱さ」が、「あの戦争」を巡る番組づくりにおいても、露呈している、そんな気がした一週間であった。
参考ブログ)
2009年3月16日 (月) 『現場主義は是か?』
http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-f739.html
2009年7月29日 (水) 『ものづくり敗戦』
http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-8ba4.html
それにしても、昨日の「日本の、これから」はひどかった。余りにひどいので10分ほどしか見なかったが、感情的に吼えまくる反戦主義の塾講師や、子供をダシに涙で戦争反対を訴える大学生など、「一体どこで見つけてきたんだ?」という一般人(?)目白押しの番組であった。
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