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2009年8月30日 (日)

「お子様」政治家 鳩山由紀夫に未来を託せるか?

 今さらここで何を書いても、大勢はくつがえらないとは思うが、凝りもせず選挙の話題。

 このブログで何度も指摘してきたように、ほとんどのマスコミは民主党に甘~い。中でもテレビの民主党応援は露骨で、献金問題にいちばん言及したのは東海地方の地方番組、それもバラエティ番組くらいという始末。あとは『ニュースZERO』の村尾信尚キャスターくらいか。

参考動画) 

【民主党鳩山】東京キー局は見習え!【 献金問題】

 【お笑い企画(第1弾)】日テレ村尾アナの超かんたん山鳩クッキング!?

【お笑い企画(第3弾)】村尾アナの超かんたん山鳩クッキング2~炭火焼編!?

 これらの報道は例外として、甘~いマスコミの環境の中で、(政策の是非もさることながら)年間1人当たり31万2000円にも及ぶ「子供手当て」や「高速道路無料化」の財源について何ら明確にすることなく、どうやら選挙戦を乗り切って行きそうだ。

 しかし海外となると、国内のような優しい環境はなく、厳しい批判が容赦なく寄せられる。以下、(珍しく)朝日新聞社からのニュースを転載。

 「民主党の鳩山代表が27日付の米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)に寄稿した論文をめぐり、米国内に波紋が広がっている。「米国主導」の世界経済の体制を批判的にとらえ、アジア中心の経済・安全保障体制の構築を強調した内容が、米側の目には「現実的でない」と映るようだ。専門家らの間には日米関係の今後に懸念を抱くむきもある。 (中略)

 元米政府関係者は「オバマ政権は、(鳩山氏の)論文にある反グローバリゼーション、反アメリカ主義を相手にしないだろう。それだけでなく、この論文は、米政府内の日本担当者が『日本を対アジア政策の中心に据える』といい続けるのを難しくするし、G7の首脳も誰一人として、彼の極端な論理に同意しないだろう。首相になったら、評論家のような考え方は変えるべきだ」と批判した。

 別の元米政府関係者も「グローバリゼーションについての米国への批判は一方的に過ぎるし、日米同盟の重要性に触れたくだりも、非常に少ない。鳩山氏はもっと日米関係に理解のある人だと思っていたが、変わったのだろうか」と話す。」

2009年8月29日 『米紙に寄稿の「鳩山論文」相次ぎ批判 米国内の専門家ら』

http://www2.asahi.com/senkyo2009/news/TKY200908280447.html

 さらに、産経新聞の記事によると、アジア専門の元政府高官は「米国に対し非常に敵対的であり、警戒すべき見方だ」との警戒感を強めているという。何も、「米国ベッタリが良い」とは言わないが、国内向けに「カッコイイ政党」を誇示したいがためのリップサービスによって、今後の日米関係に余計な亀裂が入ってしまわないか、懸念される。

 さらに、度々このブログでも引用している、「オトナ代表」の池田信夫氏に言わせれば、「お子様政治家」の鳩山由紀夫が考える「東アジア共同体」などは、幻想に過ぎないとバッサリ切り捨てられている。

 池田氏によると、東アジアがEUのような共同体になれる条件はなく、以下の3つの理由から、「東アジア共同体」などあり得ないと言う。

・中国や北朝鮮という社会主義国を含み、政治的な合意が不可能。

・国家の共同体とは基本的に軍事同盟であり、日本と中国が共同の敵と闘う事態は考えられない(中国が敵になる可能性はあるが)。

・経済発展のレベルや賃金水準が違いすぎ、完全な自由貿易圏にして(EUのように)移動の自由を保障したら、中国から数億人の移民が日本に押し寄せる。

 以上の理由によって、同氏は「東アジアで共同体を構築できる客観的条件はない」と結論付けた上で、「それは望ましくもないのである」ことを付け加え、「それよりFTAやEPAで個別に自由化を進めるのが現実的だ。」と述べている。

 そして最後に、「もっとも日米FTAに農協がツッコミを入れたぐらいで腰砕けになる民主党が、東アジア自由貿易圏のリーダーになれるはずもないので、アメリカ政府が心配するには及ばないが。」と、打ち出した方針も幻想に過ぎないが、その実行力についても冷ややかな目で見ている。

参考)池田信夫blog  「東アジア共同体」という幻想 (8月29日) 

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/909ac48bd69774e5bde4b47136ab6313

こちらも参考までに 「東アジア共同体」 喜ぶのは誰か?

http://muumintani-irasyai.blog.so-net.ne.jp/2009-08-30

 今後民主党が政権をとったら、「オトナ」代表の池田信夫氏が予想するように、「日米FTAに農協がツッコミを入れたぐらいで腰砕けになる民主党」のブレまくりを、イヤというほど目にすることとなるだろう。

 しかし、一番警戒すべきは、こうした「ブレ」ではなく、一つ前のブログでも書いたように、民主党内に巣食う「旧社会党」勢力が政策集にねじ込んだ(マニフェストには明記されていない)、「選択的夫婦別姓の早期実現」や「元慰安婦に謝罪と金銭支給を行うなどの慰安婦問題への取り組み」、「靖国神社に代わる国立追悼施設の建立」、そして国の根幹を揺るがすことが憂慮される「永住外国人への地方参政権付与」、「人権擁護法案」などの政策が実行に移されてしまうことだ。

 本日、政権が自民党に委ねられるのか、民主党に移るのか、はたまた幸福実現党が政権を担うことになるのか(それはない?)、その行方が明らかになる。今後、マニフェストが着実に実行されるのかに加え、「マニフェスト」以外の政策が不当に実行に移されないかどうかも、我々は注視していかねばなるまい。

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選挙は宝くじか?

 いよいよ衆議院選の投票日。本日20時には、その大勢が(なぜか)判明するだろう。日の丸を切り裂いて、(鳩山由紀夫曰く)”神聖”な民主党のシンボルを作ったことも、(マスコミが騒ぎ立てなかったことにより)大した失点にはならず、民主党の圧倒的有利が予想されている。

 なにゆえ、かくも多数の人間が民主党を皆が支持するのか?なかなか明確な根拠を見出しがたいのだが(不支持の理由は指折り挙げられるのだが)、「一度は民主党に任せてみよう」という、漠然とした期待感を持っている、というのが大半ではなかろうか。

 こうした一般大衆の心理は、宝くじを買う心理と似たようなものを感じる。「もしかしたら当たらないかもしれないが、当たったらもうけもの」という、期待感だ。みずほ銀行の宝くじサイトによると、宝くじの払い戻し率は46.4%と、公営ギャンブルに比べても圧倒的に低い。にもかかわらず、一攫千金を夢見て宝くじを買い求めるひとは後を絶たない。

 同様に、「民主党がより良い未来をつくってくれる」という確信はないものの、「当たったらもうけもの」感覚で投票する人は、けっこうな割合でいるのではないだろうか。しかし、宝くじは外れたら紙くずになるだけで、それ以上の損失は生じない一方、政権は一度預けたら、取り返しのつかない損失が生じるおそれがある。

 民主党の批判サイトはあまたあるが、ここでは民主党所属の議員からの批判を紹介するにとどめよう。

 民主党所属の都議会議員である土屋敬之(たかゆき)氏は、民主党の中に巣食う旧社会党勢力が政策に影響を与えていることを問題視。さらに、「民主党政策集 INDEX2009」には明記してあるにもかかわらず、マニフェストには永住外国人への地方参政権付与の方針の維持や選択的夫婦別姓の導入、慰安婦問題への取り組みなどをこれを明記しなかったことを厳しく批判、「国民の目を欺こうとしている。国論を二分する政策を載せれば、有権者の支持が得られないと考えたからだ」とコメント、「マニフェストを読んで民主党に投票しても、思いもよらなかったような政策が実行される」ことを憂慮している。

民主党都議が民主マニフェストを「偽装」と批判 

8月24日19時28分配信 産経新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090824-00000576-san-pol

 土屋たかゆき氏自身のブログでは、もっと辛らつな言葉で、自身が所属する政党に対する批判を行っている。以下、8月25日の「今日のつっちー」より転載。

 「私が指摘した、民主党マニフェストに重要な党の政策、つまり、夫婦別姓、嫡子以外の子供(つまり、彼女に生ませた子供)の財産相続を実子と同じく扱う。外国人参政権などなど、この国の「かたち」を根本から変える重要政策が掲載されていないと言うことが、産経新聞の取り上げられ、その後様々な反響があったので、その詳細を論理的に論文にまとめることにした。 (中略)

 そもそも、これらをすすめているのは、党内のサヨクだ。「何が何でも政権交代」で全てが解決するなら、この日本、とっくに良くなっているはずだ。

 大体、民主党の政策とマニフェストを比較しないで、「政権交代」だから、どんなことも合法化されると言う考え自体、政治を陳腐化する考えだ。じゃあ、小泉改革で世の中はどうなったか?お答えいただきたい。

 と言うと、「今度は政権交代だ」と答えが返ってくるだろうが、であるなら、その公約は「正直」であらねばならない。今のままで行けば、ファシスト法案である「人権擁護法案」なども法制化される。教育の政治的中立性は全くなくなる。

 先の電話の主は「それは良くない」と言う。じゃあ、私と同じ考えだ。選挙はテレビショッピングではない。

いいことづくめ。モノが売れればいい。

そんな選挙でいいのか。

皆さんは、本当に夫婦別姓を望むか?外国人に参政権など与えていいのか?学校が日教組支配になっていいのか?ありもしない「従軍」慰安婦に弔慰金など払っていいのか?そんなことは、講和条約でけりが付いている。

それでも疑問があるのなら、私の論文を読んでから批評をしていただきたい。

ひいきの引き倒しでは、子供も、政党も成長しない。重要な政策を「隠しておいて」選挙をする政党が西欧には存在しない。何故なら、そんな姑息なことをしたら、選挙民から相手にされないからだ。この選挙。この国の存亡がかかっている。
だから、敢えて、私は、自分の身命を賭して「正論」を発言している。」と。

土屋たかゆき氏 公式サイト 

http://www2u.biglobe.ne.jp/~t-tutiya/enter.html

 土屋氏は、このブログで民主党自身を批判しているが、同サイト内の動画では、それを(意図的にだが)見逃している新聞などマスコミも批判の対象としている。繰り返しになるが、「選挙」は「宝くじ」ではない。「当たったらもうけもの」といった軽々しい気分で臨んだら、後で痛い目にあうのは我々自身だ。

 最後に、同氏のサイトに紹介されていた、ヒトラーの言葉を転載し、締めとしたい。

『いかなる宣伝も大衆の好まれるものでなければならず、 その知的水準は宣伝の対象相手となる大衆のうちの 最低レベルの人々が理解できるように調整されねばならない。それだけでなく、獲得すべき大衆の数が多くなるにつれ、 宣伝の純粋の知的程度はますます低く抑えねばならない。』

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2009年8月24日 (月)

日本が「名古屋化」する!?

 少し前の名古屋ブームの際、「名古屋本」なるものが結構出版されたが、「名古屋人(名古屋を中心とする中部圏の人々)の特徴」は、「世界における日本人の特徴」に似通っているという指摘を読んで、「なるほど~」と感心したことがある。

 確かに、まじめでルールを守る、堅実で貯金好き、几帳面でものづくりが得意、自由で型破りな発想は苦手、身内意識が高くて排他的、お上(権威)・ブランドに弱い、などなど、思いつくところは多い。

 ある本によると、江戸時代に徳川家康が天下をとったことにより、徳川親藩(松平氏など)に加え、三河出身の譜代大名(井伊、本多氏など)、さらには豊臣秀吉ゆかりの加藤清正、福島正則などが日本津々浦々の大名となったことで、(三河も含めた)名古屋的気質が全国に行き渡った、とかなり強引な仮説を打ち立てていた。

 それはともかく、「カイゼンは得意だが見えないものを見通す洞察力は弱い」というのは、(名古屋圏を代表する)トヨタの持つ弱さであり、かつ日本の製造業全体の持つ弱さではないかと、度々このブログで指摘している。

 そんな個人的な思いに相通じるような書物を読んだ。『グローバル・マインド 超一流の思考原理 日本人はなぜ正解のない問題に弱いのか』(藤井清隆著)がその書物だが、著者は大前研一氏率いるマッキンゼーに東大から新卒で入社して米国でMBAを取得、魚ウォール街を経てSAPというシステム会社の日本法人社長、さらにはルイ・ヴィトンで日本法人社長を務めたという異色の経歴の持ち主だ。

 彼の指摘によると、今の日本は「名古屋化」しているという。近年の日本の経済規模は、世界の中でちょうど10%程度に対し、名古屋圏は日本の中でちょうど10%という位置づけだ。そして、名古屋圏には多くの大学もあり、トヨタを筆頭に立派な企業も多い。経済・生活圏として自給自足が出来るがゆえに、県外へと多くの人が流出することもない。かといって、首都圏や大阪圏のように、他の地域から人を吸引するほどのダイナミックな力もない。

 このように、日本における名古屋圏同様、世界の中の日本は、「大きすぎることもなく小さすぎることもない、こぢんまりとまとまった市場」となりつつあると言うのだ。「それでいいじゃないか、という声も聞こえてきそうだが、中国を初めアジアの新興国が著しい成長を見せている中、今までは「消費者はうるさいが魅力的な市場規模」であったのが、「消費者はうるさいし、市場規模としても魅力が薄い」市場になりつつある、というのだ。

 これは海外の企業だけが感じていることではなく、日本の大企業も同様で、シャープやパナソニックがものづくりにおける「地産地消」を進めつつあるのは、先日のブログで紹介したとおり。キリンとサントリーによる強者連合も、このような流れの中で決断されたこととみて良いだろう。

2009年8月16日 (日) 家電メーカーで「地産地消」が進む?!

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-a2e1.html

 したがって、もはや「雇用の受け皿」として大手家電メーカーによる労働集約的な大工場が国内に建設されるという期待は薄く、それを前提に雇用問題を論じなければ意味がない。ちなみに城繁幸氏は、雇用問題に対するスタンスを下記の4つに分類し、

(1)最賃引き上げ、より充実した社会保障、積極的雇用政策などを含む流動性の高い労働市場
(2)流動性の高い労働市場だが、規制も社会保障もきわめて限定的
(3)一定の規制緩和を進めるが、あくまで従来型の正社員長期雇用を軸にし、新たな社会保障政策にも消極的
(4)従来型の正社員長期雇用を軸にしつつ、そこから漏れた分は社会保障で面倒見るよう主張する一派

 (3)と(4)を志向する人は、もはや”宗教化”している、と皮肉っている。

 そのような現実を踏まえ、前述の藤井清隆氏は著書の中で、日本人の持つ弱さとして、以下のような点を指摘している。彼は学者ではないので、裏づけとなる膨大なデータを示しているわけでないが、その指摘はズバリ本質を衝いていると思う。

・ソフトウェアの分野においては、日本人の「完璧主義志向」が邪魔をしている。これは大量生産型の産業製品には威力を発揮するが、試行錯誤型、顧客参加型、抽象志向が主体のソフトウェア産業には相性が悪い。

・顧客のニーズ追従は必ずしも善ならず。スピード社の水着は、締め付けはキツイが早く泳げる。時には選手に嫌がられても新しい発想を優先すべき。イノベーションの局面になると、日本の「顧客至上主義」は、発送の狭さが露呈して後塵を拝する羽目になる。

・「現場尊重」は大切だが、行き過ぎた「現場至上主義」は問題だ。「現場至上主義」の弊害は、レバレッジ(てこ)が効かず、大きな構図を変えるには現在に縛られた考え方に陥りやすいことである。

・「現場至上主義」は、構想段階である未来のものや、ソフトウェアやビジネスモデルなどの抽象概念に近いものの評価が低くなる。会社の経営陣にあまりに現場至上主義が強すぎると、発送に柔軟性を欠き、知らないうちに自分が格下と思っている会社に外堀を埋められてしまう現象が起こり得るのだ。

・「正解」を求め、「誤りを犯すことへの恐れ」を生み出す教育は、試行錯誤を必要とするものへの大きな障害となる。ソフトウェアや顧客参加型のビジネスモデルは、今後ますます重要となってくると考えるが、「完璧主義」はこの大きな弊害となる。

参考ブログ)

2009年4月16日 (木) マーケットインかプロダクトアウトか??

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-b388.html

2009年3月16日 (月) 現場主義は是か?

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-f739.html

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2009年8月17日 (月)

電気自動車への移行はスンナリ進むか?

 先日のブログで紹介した書籍『技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか』によると、

 「ハイブリッドは「従来モデルの延命策」である。しかし「延命策は、実は短命に終わる。なぜなら、「ハイブリッドカーの性能が上がる、ということはそれだけ電気自動車の実現を引き寄せることになるからである」と予測するとともに、

 「ガソリン自動車から電気自動車に移行することによって、自動車は摺りあわせが強みとして生きる「インテグラル型製品」から、パソコンのように組み立てが簡単な「モジュラー製品」になってしまう。ゆえに日本の自動車産業は、あと15年で壊滅状態となる。」と予測、

 もはや、「従来の日本の大企業が得意としてきた「垂直統合型、自前主義、企業群の切磋琢磨」モデルは、通用しない。しかし未だに日本企業は、従来のイノベーションモデルでいくさを仕掛けようとしている。」ことに警鐘を鳴らしている。

 このブログに対してコメントを頂戴した。

 「電気自動車については、10年や20年で普及するとはどうしても思えません。私は東京23区内でマンション住まいで自家用車を所有していますが、マンションの駐車場の場合はまずコンセントがないし、コンセントを設置して各使用者に紐付きで請求できる設備を導入して請求を行い、同時に管理組合の規定も整備する、ということを考えただけで頭が痛くなります(紐付けにしなければ、各区分所有者間の負担の不公平が生じて必ずもめる)。自走式ならまだしも、最近のマンションに多い機械式の駐車場では、充電設備の設置自体が絶望的ですね。

 (中略)また、首都圏や、地方都市でも地下鉄網が整備されているような大都市都心部では、通勤に車を使用しない週末ドライバーがほとんどだと思いますが、この場合、バッテリーの自然放電によるロスがバカにならないくらい大きいと思います。逆に、長距離ドライブが多く毎日使用するような地方では、フル充電で航続距離200kmや300kmぐらいの電気自動車では(常にフル充電していることは非現実的なので)普及が難しいでしょう。」との意見だ。

 今週の日経ビジネスにおいても、電気自動車の本体の開発は着々と進んでいるものの、「充電インフラ整備」がネックとなって、普及は妨げられるのでは、との懸念を示している。同誌によると、「現時点では、積極的に急速充電器を設置しようという動きは見当たらない。普及に当たっては3つの課題がある」とし、具体的に以下の3点を述べている。

1.導入コストが高い。今のところ充電器を1基設置するのに800万円以上の初期投資が必要。

2.充電ビジネスそのものの事業性が低く、ガソリンスタンドのような採算の合うビジネスになりえない。

3.先行して使用している大手企業は使用用途が限られ、急速充電器の必要性を余り感じていない。

 三菱地所では現在2箇所の急速充電器を置いているものの、「企業が使う電気自動車は、夜間に充電ができればいいケースがほとんどなので、法人向けビルはコンセントで十分。」とのことだ。

 同誌によると、「コンビニエンスストアでは設置に必要な高圧電源が店舗にないケースがほとんど」とのことで、ガソリンスタンドのようにあちこちに、という訳には行かなさそうだ。もっとも、「電気自動車、ローソンで充電」、「電気自動車は本年度中に40台導入する計画で、東京や名古屋、大阪の一部地区で、店舗経営指導員が店舗の巡回時に利用する。充電施設は200ボルトコンセントタイプの充電器で、7店舗に設置。順次増やし計25店舗に置く計画。」なんて記事もあるので、コンビニが急速充電のステーションの主役となりうる可能性は大いにあり、と考えられるのだが(ちなみに、ガソリンスタンドとコンビニは、いずれも約4万ヶ所ある)。

http://www.chunichi.co.jp/article/car/news/CK2009080402000208.html

さらに、「将来、電気自動車や電池の性能向上で航続距離が伸びたり、コンセントでの充電が大幅に短縮する技術が開発されたりすれば、急速充電器の必要性が薄れる」とし、その懸念から経済産業省も安易には補助金をつけて設置、というには及び腰の様子。

 となると、「電気自動車や電池の性能向上で航続距離が伸びたり、コンセントでの充電が大幅に短縮する技術が開発」された頃には、本格的な普及があり得るということだろうか。冒頭の「ハイブリッドカーの性能が上がる、ということはそれだけ電気自動車の実現を引き寄せることになるからである」という推測が正しければ、その実現は意外と早くなるかも知れない。

 以上、前置き。ここからが本論。

 気が早い話だが、電気自動車の本格普及が始まると、スンナリとガソリン自動車から電気自動車に移行が進むだろうか?私は、「アナログ放送からデジタル放送への移行」以上に、社会的な混乱が起こると、今から懸念している。

 環境省は14日、「省エネ技術の開発・普及を急ぐことで2050年までに日本の温室効果ガス排出量を05年比で80%削減できる」と分析する中で、自動車のあるべき姿として「電気自動車100%」もしくは「電気自動車50%、ハイブリッド車50%」と設定している。ガソリン使用料が減れば、環境には良いだろが、3兆円強あると言われているガソリン税(揮発油税2兆8395億円+地方揮発油税)の税収も、グンと減ることとなる。エコを絶対化して、経済がどれほどの影響を受けるのか、ここで考慮されているとは言い難い。

2050年までに温室ガス80%削減可能…環境省

8月14日22時52分配信 読売新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090814-00001017-yom-soci

 電気自動車が普及するということは、それだけガソリン自動車の利用者が減る、ということだ。そうなると、全国各所にあるガソリンスタンドは次々と損益分岐点を割り込み、閉鎖に追い込まれる可能性が高い。そうなると、ガソリン自動車がかなりの割合が残っている段階で、社会インフラとしてのガソリンスタンドが必要十分な数を割り込でんでしまうのではないか。

 かつて、ガス欠寸前で、ガソリンスタンドを探したときは冷や汗ものだったが、今後は「行けども行けどもガソリンスタンドはなく、あえなくガス欠」、なんて自動車が続出するのではないだろうか。もっとも、特に地方は人口減によってガソリンスタンドの経営が成り立たなくなり、至るところで閉鎖に追い込まれているが、電気自動車の普及は、それに追い討ちをかけることになるだろう。 

 2011年には、デジタル放送終了で、デジタルチューナー付きTVに買い換えられない人たち、すなわち「地デジ難民」が続出すると言われている。自動車は、テレビよりもはるかに高額だ。20年後くらいには、生活の基本インフラとしてのガソリン車が使い物にならなくなる、「ガソリン車難民」が続出するのでは、といった懸念を今からしている(気が早すぎ?)。

 今後も電気自動車の普及について、問題意識を持って注視していきたい。

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2009年8月16日 (日)

「闘病体験」だけで健康問題は語れない。

 昨日は終戦記念日。と、いう訳でこの時期になると、「あの戦争」の記憶を忘れてはならないと、特にNHKは熱心に特集を組んでいた。

 今や、戦後生まれが8割、つまり「あの時代」を体験した世代は2割ほどになり、テレビからは、「あの時代」を体験した人たちの声を、少しでも残そうという思いが強くうかがえる。

 すでに終戦から64年。「あの時代」を生きた人の大半は、当時召集令状で戦地に行った青年か、民間人として空襲など「戦時下」を体験した人たちばかりだ。彼らが戦時下、さらには戦後の厳しい時代を乗り越えた上で、今の日本がある。これは紛れもない事実で、彼らに対する敬意は、いささかも損ねるものではない。

 しかし、である。「闘病体験」だけで健康は勝ち取れない。「病気にはなりたくない、健康が良い」、と誰もが思う。だが、「あの闘病生活は辛かった」、と闘病生活だけをひたすら記録にとどめても、「どうすれば病気が避けられるか?」、「病気になったあと、どうすれば早期に健康に戻れるか?」は見えてこない。

 それと同様に、「戦争は辛かった」、「戦時下は辛かった」という証言や、「戦争は嫌だ」、「二度と戦争を起こしてはいけない」という訴えだけを積み重ねても、「あの時代」を正しく理解するには不十分ではないか。

 病気は、食生活や生活習慣などの内的な要因と、ウィルスの蔓延や大気・水の状態などの外的要因が絡み合って発生する。また、突然の事故に巻き込まれる、ということもありうる。

 それと同様に、なぜ戦争が勃発したか、また始まった戦争が早期に終結されなかったのか、さらには軍人のみならず、民間人がかくも多数の犠牲になったのか、正しく理解するのは「現場の声」を拾い集めただけでは不十分だ。

 たびたびこのブログで指摘している「見えないもの見る」、「俯瞰的に見る」、「構造的に見る」ということが苦手な「日本人の弱さ」が、「あの戦争」を巡る番組づくりにおいても、露呈している、そんな気がした一週間であった。

参考ブログ)

2009年3月16日 (月) 『現場主義は是か?』

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-f739.html

2009年7月29日 (水) 『ものづくり敗戦』

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-8ba4.html

 それにしても、昨日の「日本の、これから」はひどかった。余りにひどいので10分ほどしか見なかったが、感情的に吼えまくる反戦主義の塾講師や、子供をダシに涙で戦争反対を訴える大学生など、「一体どこで見つけてきたんだ?」という一般人(?)目白押しの番組であった。

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家電メーカーで「地産地消」が進む?!

 農産物等の「地産地消」、すなわち「その地域でその地域で作られた農産物・水産物を、その地域で消費すること。」は、地域経済活性化や地域の食材・食文化への理解促進(食育)につながるのみならず、輸送費用を抑え、フードマイレージ削減による環境問題への対処と言う観点からも推奨され、その機運が高まりつつある。

 その「地産地消」が家電メーカーでも進みつつある。といっても、これは日本人にとってありがたい話ではない。むしろ大変痛みの伴う話である。従来でも、電機の世界で使われていた言葉には「消費地生産」があるが、4月8日の「新経営戦略」発表においてシャープの片山幹雄社長は、同社のビジネスモデルの転換の決意をしめすため、あえて「地産地消」という言葉を用いた。

 『AV Watch 大河原克行のデジタル家電 -最前線- 』によると、シャープが挑むビジネスモデルの変革とは、”「地産地消」、「従来の垂直統合モデルからの脱却」、そして、「プラントを利用したエンジニアリング事業」”という言葉で示されるもの、と集約している。

『AV Watch 大河原克行のデジタル家電 -最前線- 』

シャープが「地産地消」の新ビジネスモデルで目指すもの

~21世紀コンビナートは、片山社長の幼少時代からの憧れ?

http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/ce/20090413_125288.html

 このような経営戦略を受けて、日本、特に中部地方の人間にはショッキングなニュースも発表された。そう、シャープ亀山工場の閉鎖だ。5月14日付毎日新聞によると、

 「シャープは、テレビ向け液晶パネルの亀山第2工場(三重県亀山市)の生産設備を、将来的に海外に移設する方針を明らかにした。これまで「亀山モデル」として国内生産にこだわってきたが、既に同第1工場の生産設備も中国へ移す方針を明らかにしており、国内生産は10月稼働の堺工場(堺市)に最終的に集約し、最新鋭モデルを生産する。 片山社長は「日本市場は人口が減っており、工場は堺に一つあれば十分」と語った。」、とのこと。

 日本国内、とりわけ中部地域においてシャープ製液晶テレビのブランド力向上に大きく寄与した”亀山ブランド”を敢えて捨ててまでも、ビジネスモデルの変換を成し遂げる、片山幹雄社長の強い意欲がここから読み取れる。

 さらに本日の日経新聞によると、パナソニックも「設計や製造などすべて現地化する新興国向け白物家電の「地産地消」プロジェクトを準備中」とのことである。同誌によると、「中間所得層をターゲットに低価格製品を大量販売する戦略で、4月~6月の販売急増によって足場を築いた新しい市場で、一気にシェアの拡大を狙う。」とのことである。

 これら大手の戦略転換は、まさに昨日のブログで紹介したような、”従来のイノベーションモデルでいくさを仕掛けようとしている「垂直統合型、自前主義、企業群の切磋琢磨」モデル”を捨て去る試みであり、”画期的な発明を基に画期的な製品を作り市場に導入し、しばらくは100%近いシェアを誇るものの、ビジネスの垂直分離がなされると同時に国際斜形分業が加速、商品の爆発的普及が始まるころからNIEs/BRICs諸国に追いつかれ、シェアを落としていく”、という日本メーカーの惨敗パターンからの脱却を図る試みであると言ってよい。

参考)

2009年8月15日 (土) 『技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか』-2

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-3593.html

 確かに、国内の大手メーカーの工場閉鎖・海外移転は、そこに働く従業員のみならず、その地域経済にとっても甚大な影響を及ぼすため、「海外に移転せず、いつまでも国内あって欲しい」という思いは十分に理解できる。しかし、企業がグローバル競争で勝ち抜くためには、もはや国内での「垂直統合型、自前主義、企業群の切磋琢磨」モデルは通用しないのである。

 このように、産業構造の転換が不可避である中で国内の雇用を維持・拡大していくためには「外需主導を脱却して内需を拡大する必要がある」わけだが、池田信夫氏は、内需拡大に関する民主党の”修正”マニフェストに疑問を呈している。

 民主党の”修正”マニフェストは、「子ども手当、高校無償化、高速道路無料化、暫定税率廃止などの政策により、家計の可処分所得を増やし、消費を拡大します。それによって日本の経済を内需主導型へ転換し、安定した経済成長を実現します。」と書いているが、池田信夫氏はこれは「誤り」と断定している。

 すなわち、「このような「内需」の財源はすべて税か国債であり、所得再分配にすぎない。たとえば子供手当をもらう家庭の可処分所得の増加は、配偶者控除や扶養控除を減らされる子供のない家庭の可処分所得の減少で相殺されるので、ネットの消費は増えない。」のである。

 では、内需拡大を実現するにはどうすれば良いのか?池田信夫氏は次のように述べている。

 「成長戦略とは、みんなの党だけが正しく認識しているように、「生産要素を成長分野に再配分」することによって経済の効率を高めることだ。これはゼロサムの所得分配とはまったく別の問題であり、民主党のマニフェストはこの基本的な考え方を理解していない。税金のバラマキによる「内需拡大」がいかに悲惨な結果をもたらすか、われわれは90年代に学んだはずだ。」

池田信夫 blog 2009-08-12 『「内需拡大」についての誤解』

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/689e7b00744b7db598a910ae37d1d2cf

 「生産要素を成長分野に再配分」というマクロ的な目的をどのように実現するのか?政府がなすべきこととしては、例えば医療ベンチャーの早期事業化を実現するために、文部科学省・厚生労働省・経済産業省の縦割り行政を克服することや、城繁幸氏が主張しているように「正社員の丸抱えによる終身雇用制度・年功序列制度」を廃止して雇用の流動化を進める、といったことが挙げられるだろう。

 池田氏のブログにおいても、Economist誌の「日本の過大な経常黒字=過少消費が世界経済と日本自身にとって有害だと論じ、規制撤廃によってサービス業の労働生産性を上げて内需を拡大すべきだ」との提言を紹介している。以下、転載。

 「今後10年で人口が9%も減少する経済においてもっとも緊急性の高い問題は、「子作り」を奨励することではなく労働生産性を上げることだ。そのためにはリストラによって労働移動を促進するしかない。それは古い企業で雇用喪失をまねくだろうが、サービス業の効率を上げて消費が増えれば、最終的には雇用は増える。重要なのは、「安心・安全」などの理由で過剰に規制されているサービス業を政府の介入から解放し、新規参入を促進することだ。」

 そして我々一人ひとりは、長らく雇用を支えてきた大手メーカーの国内製造拠点が「地産地消」によって海外移転するという流れが不可避であるという現実を、大手メーカーのみならず中小企業、サラリーマン、さらには派遣社員からフリーター、ニートに至るまで、現実として強く認識することが、まずは第一歩となることは間違いない。

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2009年8月15日 (土)

『技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか』-2

 と、いうわけで、前回の続き。前回の記事を読んでいない方は、まずこちらをご一読いただきたい。

2009年8月13日 (木)

『技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか』-1

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-6335.html

 昨日は前置きだけで終わってしまったが、今日は『技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか』を読んで、「なるほど~」と唸った箇所を、ひたすら紹介していきたい。

・日本の自動車産業は、あと15年で壊滅状態となる。なぜなら、ガソリン自動車から電気自動車に移行することによって、自動車は摺りあわせが強みとして生きる「インテグラル型製品」から、パソコンのように組み立てが簡単な「モジュラー製品」になってしまうからである。

・「成長」と「発展」は違う。成長は既存モデルの量的拡大、発展は新規モデルへの不連続以降である。これを”イノベーション”と呼ぶ。

 ← オタマジャクシのまま大きくなるか?オタマジャクシからカエルに変わるか?

・日本は1970年代から80年代にかけて、インプルーブメント、つまり「モデル練磨競争」に勝ってきた。しかしこれからはプロダクトイノベーション、つまり「ゲームのルールを変えた者」のだけが勝つ。

 ← 相撲に磨きをかけたと思ったら、競技がテニスになっていた。

・イノベーションの第一原則、従来モデルの改善をいくら突き進めても、イノベーションは起こらない。

 ← ソロバンから電卓は生まれない、ということ。

・生産性の向上だけで”競争力”を語るなかれ。

・ハイブリッドは「従来モデルの延命策」である。しかし「延命策は、実は短命」。なぜなら、ハイブリッドカーの性能が上がる、ということはそれだけ電気自動車の実現を引き寄せることになるからである。

・アキバで電気自動車が売られる日も近い。そして自動車のデーラーはかつての写真フィルムの現像所と同じ運命を辿る。

・日本メーカーの負けパターン/画期的な発明を基に画期的な製品を作り市場に導入、しばらくは100%近いシェアを誇るものの、市場拡大とともにNIEs/BRICs諸国に追いつかれ、シェアを落としていく。

・日本の「惨敗パターン」は、ビジネスの垂直分離がなされると同時に国際斜形分業が加速し、商品の爆発的普及が始まるからである。半導体も液晶も、DVDもすべて同じ構造である。

・従来の日本の大企業が得意としてきた「垂直統合型、自前主義、企業群の切磋琢磨」モデルは、もはや通用しない。しかし未だに日本企業は、従来のイノベーションモデルでいくさを仕掛けようとしている。

・自社技術を特許で囲って排他的に実施するのではなく、イノベーションを先導しつつ特許を公開して「市場拡大」と「収益確保」を同時に達成する、という戦略も有効だ。

・実は、過去の日本において、「技術のオープン化による新規モデルの普及」を実現した例がある。それは日清食品の”即席ラーメン”である。特許を公開することで市場に粗悪品が出回らなくなり、その結果市場が爆発的に拡大する効果が期待できる。

・これからの国際標準は、「先進国の国力・技術力・国数」ではなく、「新興国の人口と潜在購買力」に依存して決まるモデルに移行することが、大いにありうる。ブルーレイもデファクトスタンダードになったが、中国にHD-DVD技術が移ったことで、こちらがデファクトスタンダードになることも、大いにありうる。

 ← 前々回のブログに書いた電圧の国際標準も、中国がカギを握っていた。

・新しいモデルの基本的な骨格は、従来は「インベンション(発明)」×「イノベーション(新価値の創出)」であった。これからは、「インベンション(発明)」×「イノベーション(新価値の創出)」×「ディフュージョン(普及)」である。

・新しいイノベーションモデルは、協業と分業を組み合わせて加速度をつけることがポイント。すなわち垂直統合の分断=脱・自前主義である。

・マジョリティに普及させるために、キャズム(死の谷)を乗り越えるには、「斜形」分業で普及までの時間の短縮化を図ること。つまり「脱・抱え込み主義」である。

・重要なのは、イノベーションのイニシアチブを取ること。そのためには、ディフュージョン(普及)までを視野に入れて、イノベーション全体のシナリオを描くこと」である。日本企業はこれがまるっきり出来ていないから、市場拡大のタイミングで「惨敗」となるのである。

・日本の企業には、「イノベーションを起こす技術力があれば大丈夫」といってはばからない経営者が何と多いことか。彼らに「ではなぜ、その技術力がありながら事業で勝てないのか?」と問うと、途端に歯切れが悪くなり、「頑張ります」と日本陸軍的な精神論に逃げ込む。

・いくら危機感があっても、危機感の源をしっかり見極め、自分の企業で対処できるかどうか理解しなければ、本当の危機感のレベルには足しているとは言えない。

・日本人は教わるのは得意だが、自ら学ぶのは余り上手くない。負けたとき、悔しいときに、日本人は徹底的に解明することを嫌がる傾向にある。リフレクション(振り返ること)を「反省」というネガティブな表現に訳すのはよくない。「省察」と訳すべきだ。

・日本人は負けても、「一所懸命やったから・・・」、と「水に流す」伝統があるが、水に流す前に真摯に振り返ることが重要である。

 といったように、ズバリ本質を突いた指摘が満載の書籍である。前半では、新たな時代のイノベーションモデルの成功例としてインテルとアップルを紹介し、基幹部品主導で完成品を従属させる「インテル・インサイド」、商品イメージで部品を従属させる「アップル・アウトサイド」と、それぞれのモデルにネーミングをつけている。

 そして後半は、特許を中心とした知財マネジメントの要諦について述べているが、これについても前々回のブログで紹介したTV番組同様、「技術」のみに着目するのではなく、「その技術をいかに戦略的に活用するのか?」という観点の重要性を説いている。そして21世紀は、20世紀の「有形資産重視経営」から「無形資産重視経営」に移行している、という指摘は、『ものつくり敗戦』が指摘したことと、相通じるものがある。

 最後に、以上のような「今、そこにある未来」にどう立ち向かえばよいのか?、そのヒントとして本日読んだ本『徹底のリーダーシップ』から引用したい。

 「とてつもない不確実性と失望の中で、多くの人は拒絶反応を起こす。怖気づく人もいる。(中略)とりわけいまのような状況下では、恐怖は命取りとなる。机の下にもぐって指をくわえているだけのリーダーは必ず失敗する。バックミラーで過ぎ去った過去を覗き込んでも何の足しにもならない。将来の問題から目を逸らしているだけである。

 拒絶と同じくらい危険なのが、甘い希望である。われわれは、困難に直面すると、「これはもうすぐ終わる。そうしたらまた元に戻る」と自分に言い聞かせる傾向がある。それを信じてはいけない。新しい世界がどんなものになるかは誰にもわからないが、確かななのは、過去とは違う世界になるということだ。」

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2009年8月13日 (木)

『技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか』-1

 このブログでたびたび、「リーマンショックでいとも簡単に赤字に転落し、来期も赤字が予想されるトヨタは果たして一流企業と言えるか?」と疑問を呈してきたが、これは何もトヨタが嫌いだから、という訳ではない(少し前に続々と出版された”トヨタ礼賛本”には辟易としていたが)。

 では、なぜトヨタを題材に取り上げるのかというと、トヨタの持つ強さは日本の製造業が共通して有している強さであると同時に、トヨタの持つ弱さは日本の製造業全体が抱える弱さである、という気がしてならないからだ。

 6月25日に行われた豊田章男新社長の就任後初の記者会見で、「『トヨタ丸』は嵐の中の海図なき航海に出ました。」とのコメントを発したのは、トヨタが未だに明確なビジョンを描けていないことの表れといってよい。

 たびたびブログで指摘したとおり、トヨタが抱える最大の弱みは、「自分のコントロール下にある「カイゼン」には滅法強いが、コントロール下にない不確実な未来に対して、決して鋭い洞察力を働かせることを得意としているとは言い難い」という点であると考える。

 そして今まで、(あえて言う)たまたま好調を維持し続けられたのは、約十年前にオリックスの宮内義彦会長が指摘したように、「家電業界は、テレビはブラウン管から液晶に移り変わるなど、”非連続の時代”に突入した一方、自動車は4輪で走り続けることには変わりがない”連続の時代”が続き、コツコツと改善を積み重ねることが強みにつながる。」という状況が続いてきたからだ。

 そして時代は下って現代、今や自動車も”非連続の時代”に突入しようとしている。ガソリン自動車から、ハイブリッドカー、そして電気自動車。いや、むしろ若者の”車離れ”や、インドの自動車メーカー、タタ・モーターズが発売した激安カー”ナノ”のような自動車のコモディティ化など、自動車業界をめぐる”非連続”の足音が一歩一歩近づきつつある。

2009年5月10日 (日) トヨタの経営力って一流?

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-9b47.html

2009年6月22日 (月) 「非連続の時代」とトヨタ

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/post-06e3.html

2009年7月27日 (月) 『トヨタ土壇場』

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-bf2a.html

 このように、トヨタだけに注目して、現在の日本の製造業が抱える弱さを分析してきた訳が、先日読んだ『ものつくり敗戦』によると、日本の製造業が抱える弱みは、明治以来の日本の科学技術産業が抱える共通の弱みであることが指摘されている。具体的に、「普遍性への感度の低さ」、「見えないものを見る感受性の低さ」、「ハード偏重、ソフト軽視」を克服して、「複数の知から新しい知を創造する”知の統合”」、と「「モノ」重視から「コト」重視へのことつくり」を、日本の技術の政策目標としなければ、科学技術立国としての日本の未来は危うい、と同書は警鐘を鳴らしている。

2009年7月29日 (水) 『ものつくり敗戦』

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-8ba4.html 

 では、日本の(製造業に限らず)企業は、いかにすれば明るい未来を切り拓けるのか?それを考える上で最良の書籍を、最近読むことができた。それが先日も紹介した、『技術力で勝る日本が、なぜ事業で負け続けるのか』(妹尾堅一郎著)である。

 同書は序章において、「日本の自動車産業 最大の危機」と題し、日本製造業(あえていう)最後の砦である自動車産業までもが、”非連続の時代”に入りつつあることを予見している。

 同書によると、「自動車産業 最大の危機」の主たる要因は「電気自動車の登場」であるとしている。電気自動車の登場によって、従来のガソリン自動車で発揮されていた自動車産業の強みである「インテグラル(摺り合わせによる統合)」の時代は終わりを告げ、自動車もパソコン同様に「モジュラー製品」になってしまうからである。

 以降の章で、なぜ日本が『技術力で勝って事業で負けるのか(著者のたとえによると17安打で20残塁、得点ゼロ)』についての徹底した要因分析を行うとともに、「ではどうすれば良いのか?」という提言について、事例を交えて(分厚いが)わかりやすく書いてある、近年まれに見る良書である。あまりにも紹介したことが多いので、続きはまた次回。

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2009年8月12日 (水)

酒井法子には「法的責任」に加え「道義的責任」を問え

 「”清純派”アイドルによる犯罪」とあって、世間に衝撃を与えた酒井法子の覚せい剤取締法違反による逮捕事件、供述も状況証拠もそろってきたにもかかわらず、なんと起訴猶予処分になる可能性が出てきたという。報知スポーツによると、

 「専門家は「自宅から見つかった覚せい剤が微量で起訴できない」という。別居中の夫も「会うたびにやせていった」と酒井容疑者の覚せい剤常用を思わせる供述をしているが、6日間行方をくらましていた後に行った尿鑑定では覚せい剤反応が出なかった。 ~中略~ 所持での起訴も、多くは1回の平均使用量(約0・03グラム)以上の分量を所持したケースで、酒井容疑者は0・008グラムの所持だ。使用後に残った量という見方もあるが、警視庁の捜査幹部は「覚せい剤が微量の事件は検事が起訴したがらない。今回も難しいかもしれない」と、公判維持の難しさを語る。検察幹部も「鑑定に使うと、量がほとんど残らず、公判で鑑定の適法性などを立証するのは困難になる」と話した。」とのこと。 

酒井法子容疑者、逃げ得“無罪”!?立件困難で起訴猶予も

8月11日8時0分配信 スポーツ報知

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090810-00000211-sph-ent

 前回のブログでも指摘したが、酒井法子容疑者は任意同行に頑として応じず6日間逃亡、時間を稼いで見事尿検査での陰性を勝ち取った。いくら発見された覚せい剤が微量とはいえ、これで起訴猶予となれば、「警察の任意同行には応じるな」、「時間を稼いで尿検査で陰性となれば無罪」という抜け道を、広く世間に知らしめてしまう、と悪影響が懸念さねる。

 こうした事態を受け、芸能人事件としては異例のことだが、政府がたびたびコメントを発表している。11日午前の閣僚懇談会においては、河村建夫官房長官は「有名タレントの事件で関心が高く(酒井容疑者に)期待を裏切られたと思っている人も多い。若者がその方向に入っていくことがあってはいけない」と言及したほか、野田聖子消費者行政担当相は「著名人は影響力の大きさを理解してほしい」と述べた。このほか「青少年への薬物まん延を防がなければならない」、「警察当局がもっと認識をしっかり持つべきだ」と、薬物汚染には強い姿勢で臨むべきだとの声があがったとのことだ。

酒井容疑者「逃げ得」マネされる!政府が警察にダメだし

8月12日7時2分配信 スポニチアネックス

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090812-00000045-spn-ent

 このような政府の意向も反映してか、警視庁は酒井容疑者の常習的な覚せい剤使用を裏づけるため、毛髪鑑定の準備を進めているようだ。デイリースポーツによると、「酒井容疑者の自宅から押収された覚せい剤があまりに微量すぎ、所持容疑での立件は困難とみられるが、容疑を「使用」や夫の高相祐一容疑者(41)との「共同所持」に切り替え、調べるもようだ。」とのこと。

酒井法子容疑者 逃げ得ダメ!毛髪鑑定検討

8月12日10時15分配信 デイリースポーツ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090812-00000014-dal-ent

 現段階では、起訴されるのか否か、さらには実刑が下されるのか執行猶予がつくのかはわからない。しかし、どのような結果となろうとも、酒井法子容疑者には「法的責任」のみならず、社会的な影響力を加味した「道義的責任」も問うべきで、少なくとも芸能界復帰が断じて許すわけには行かない。警察は、「逃げ得」を阻止するため、何としてでも起訴までは実現に至らしめてほしいものだ。

参考ブログ)

2009年8月10日 (月)

「酒井法子事件」は”芸能人村”から語るな。

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-bab8.html

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2009年8月10日 (月)

「酒井法子事件」は”芸能人村”から語るな。

 土曜日の夜、逮捕状が請求されていた酒井法子容疑者が出頭した。覚せい剤を巡る芸能人逮捕の事件は、過去に枚挙の暇がないが、単に”清純派”アイドルの逮捕という以上に、逮捕に至るまでの彼女のとった行動の狡猾さ・悪質さから、特筆すべき事件と言える。

 これを受けてビクターエンタテインメントは、9月16日発売のベスト版の発売を中止とするのみならず、過去に発売したCDについても店頭から回収、店頭からの商品回収、関連楽曲の配信の停止も決定を発表した。同社は、「こうした反社会的行為は決して許されるものではなく、弊社としても事の重大さを十分認識し、厳しく対処をしてまいります」とコメントした。日曜日にもかかわらず、翌日にこうした迅速な発表を行った同社のこの決定は、英断と言って良いだろう。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090810-00000000-oric-ent

 彼女の取った行動を見ると、一貫して「あわよくば逃げ切りたい。」という意志が明確にうかがえる。何といっても、事件発覚のきっかけとなった渋谷区の路上において、警察の任意同行に頑として応じなかったことは、彼女のしたたかさの現れと言って良い。

 確かに任意同行であれば、それに応じる義務はない。しかし、普段警察と縁がない市井の人間は、警察の求めを強固に断るという発想は持ち合わせていない。過去の芸能人逮捕において、任意動向に応じなかったという例は、少なくとも私は記憶がない。

 夫の高相祐一容疑者が現行犯逮捕された3日未明から行方不明になった理由について、彼女は「気が動転したから」と供述しているが、これも怪しい。最終的には、物的証拠とDNA鑑定によって彼女の覚せい剤所持の容疑持が確定的となり、逮捕状が請求されたことに観念して出頭した訳だが、6日間の逃走によって見事に尿検査の結果は陰性であった。

 逮捕直後の8日夜に、自宅マンションに覚せい剤を隠し持っていたとする逮捕容疑について彼女は、「詳しく覚えていませんが、部屋にあったとすればその通り間違いありません」と、あいまいな供述をしていたという。もしDNA鑑定といった確定的な証拠が出ていなかったとしたら、取調べでもシラを切り通したのではないかと想像される。

 逮捕直後のTV番組にて女優の渡辺えり子は、「どうして彼女が計算高いのなら、なぜ逮捕につながる重要な証拠を、自宅に置いたままにしておいたのか?」と、彼女にそこまでの計算高さはない、と言いたげなコメントをしていたが、これも十分説明がつく。逮捕につながる重要な証拠を、これから警察と会いに行くのに持ち出す馬鹿はおるまい。

 また、せっかく警察の任意同行を徹底的な拒絶で逃げ切ったにもかかわらず、自宅に戻れば警察と接触するリスクもある。これらを十分に考慮に入れたからこそ、自宅に重要な証拠となる覚せい剤の吸引器具を置いたまま、逃走を図ったものと考えられる。

 逮捕の第一報を報じたTBSの番組において、安住アナは「酒井容疑者」と呼ぶのをためらっているニュアンスが強く感じられた上、女優の渡辺えり子は彼女に対する同情する気持ちを隠せないような情緒的なコメントを連発していた。

 また、直接ワイドショーなどをチェックしたわけではないが、所属事務所の後輩であるカンニング竹山は、「アッコにおまかせ!」で「僕にとってはマンモスかなピー」と、のりピー語のギャグで会場をシラケさせ、司会の和田アキ子にたしなめる始末。「さらに、フジテレビ「サキヨミLIVE」で、竹田圭吾(Newsweek日本語版編集長)は、「清純派は清純派でいてほしい、と誰もが思うが、そうしたことが彼女を追い込んだ」といった同情的なコメントを発しているという。

 しかし前述したように、酒井法子容疑者は、今まで発覚した芸能人逮捕劇に比べ、格段に狡猾で、計算高く、悪質であるといえる。これらは、あくまで刑事事件してテレビで放映すべきで、断じて”芸能人村”からお仲間タレントが発言すべき話題ではない。

 サンミュージックの相沢正久社長は9日の記者会見において、酒井容疑者が起訴されて有罪判決を受けた場合、「当然として解雇も含め、(結論を)出さないといけないと思う」とのコメントを発表した。しかし、彼女の犯した罪とその後の行動、さらには社会的影響力を踏まえると、ビクターのような迅速な判断を求められるだろう。

  酒井法子容疑者が出頭する日の午前、河村建夫官房長官は記者会見で、「特に若い人に広がりつつあることに注意しないといけない。政府としてもこの対策に真剣に取り組む必要がある」と述べ、若者を対象とした覚せい剤対策を強化する考えを明らかにした。

 また河村官房長官は、「芸能界はかねてから薬物の問題が指摘され、それが明るみに出つつあるということだ。徹底的に洗って根を絶つ必要がある」と強調したという。彼女の逮捕をきっかけに、芋づる式に逮捕者が出ることを、ぜひ期待したいものである。

若者の覚せい剤対策強化=河村官房長官

8月8日13時50分配信 時事通信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090808-00000056-jij-pol

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2009年8月 8日 (土)

「良いもの作れば売れる」志向からの脱却が日本の未来を拓く

 本日NHKで放映された、『追跡!AtoZ 勝ち残れるか 激突 国際標準戦争』は、モノづくりには強いが戦略的な事業展開で劣る日本企業の戦略的な課題を浮き彫りにした、興味深い番組であった。番組の紹介サイトには、下記のようなイントロダクションが記されている。

 「世界最先端の技術を投入した日本の薄型テレビが、海外に輸出できない…。そんな事態が現実のものとなろうとしている。ヨーロッパの巧みな戦略によって、「国際標準」の一部が変更されたからだ。

 1995年のWTO発足以降、国際標準は、輸出や政府調達の条件としてルール化された。そして、百年に一度と言われる不況の今、その覇権を巡る競争は一層激しさを増している。国際標準を決めるのは各国の投票。しかし、標準化を国益の源泉と掲げる欧州勢を前に、日本は苦戦を強いられてきた。

 そうした中、数々の失敗から学び、巻き返しを図る日本の企業連合がある。1100キロボルトという世界一高い“超高圧”の送電技術を30年がかりで開発。東京電力を中心に、多くの企業が結束し、巨大な電力インフラ市場を持つ中国やインドへの進出を夢に国際標準化を目指す。立ちはだかるのは欧州の列強企業。

 日本チームは、先手必勝の“秘策”や、海外に積極的に“協力者”を作るなど、知略を駆使して悲願達成に向け奮闘する。果たして日本はどこまで巻き返せるのか?ルールをめぐる国際的な闘いの最前線を徹底追跡。」

http://www.nhk.or.jp/tsuiseki/file/list/090808.html

 番組によると、日本はソニーのウォークマンやVHSなど、”デファクトスタンダード(事実上の世界標準)”で、世界市場を席巻してきた。このような成功体験によって、モノづくり大国ニッポンの製造業は、「良いものを作れば売れる」という思いをより強固なものにした。

 しかし、ヨーロッパ人はしたたかだ。日本勢を脅威と感じたら、単に技術で競うのではなく、ではなく、戦う土俵(ルール)を変えて自分らを有利にする。オリンピック種目におけるたび重なるルール変更は、その分かりやすい例だ。TVでも紹介されていたが、ドイツも家電メーカー『シーメンス』の合言葉は、「標準化と革新」の両輪。「標準化を成し遂げてこそ、世界市場を制すことが出来る」、ということを企業戦略として掲げている。

 1100キロボルトの電圧に関しては、日本規格化協会の専門家のサポートを含む尽力もあって反対国を25%以下に抑え、何とか国際標準を勝ち取ることができた。しかしこのような事例は、まだまだ例外的な動きに過ぎない。国際的な潮流に日本メーカーは十分対応しているとはいえず、例えば携帯電話の世界市場における日本メーカーのシェアは1%に満たないと言う。

参考記事)

2009/07/08(水) サーチナ

『日本の携帯電話、ガラパゴスからの脱出を期して』

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0708&f=column_0708_005.shtml

 なぜ、世界市場で日本は負け続けるのか?この問いに対して、まだまだ勉強不足ではあるが、少なくとも先日のブログで書いた紹介した書籍『ものつくり敗戦』が指摘したとおり、日本の科学技術産業が抱えている欠陥である、「普遍性への感度の低さ」、「見えないものを見る感受性の低さ」、「ハード偏重、ソフト軽視」といった、明治以来の日本の製造業が抱える特質が、ここに来て大きな足かせとなっているのは間違いないだろう。

参考ブログ)

『ものづくり敗戦』 2009年7月29日 (水)

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-8ba4.html

 同じようなテーマの書籍として、『技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか―画期的な新製品が惨敗する理由』を注文してみた。お盆は、これをじっくり読んでみることとしよう。

参考ブログ)

「技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか」 池田信夫 blog(2009-08-07)

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/e90fe3c98c9cc36b1a1372968963f853

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2009年8月 6日 (木)

マスコミの情報統制、ここに極まれり。

 最近、このブログを見ていた知人から、「えんさんって、保守派ですよね?」と尋ねられた。確かに、そのことは決して否定しないし、このブログにおいて民主党の批判をしばしば行ってきたことも間違いない。しかし、一連のブログ記事の主題は、「マスコミによる情報操作とメディアリテラシー」である。つまり、真の批判の対象は民主党ではなく、マスコミという訳だ。

 衆議院選挙の投票日が8月30日に決定し、各党がマニフェストを発表した。真っ先にマニフェストを発表し、また「次の与党」の期待が高い(?)民主党が矢面に立たされ、自民党のみならず、各界から批判が相次いだ。

 それに対する民主党鳩山代表の切り返しは、お粗末極まるもの。その事実に対して産経新聞は、「首相の比じゃない…呆れた鳩山氏のブレブレ発言」と題して、彼の総理としての資質、さらには民主等の政権担当能力に疑問を呈している。

首相の比じゃない…呆れた鳩山氏のブレブレ発言  
8月2日20時21分配信 産経新聞 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090802-00000539-san-pol

 だが、鳩山民主党に対する矛が鋭いのは産経新聞くらい。あとは民主党への批判はそこそこに、相も変らず麻生首相や細田幹事長の失言は、ここぞとばかりに取り上げる始末である。

 このように、前々からマスコミのアンチ麻生太郎・民主党応援の姿勢は気になっていたが、ここに来て、その姿勢がさらに露骨になってきている。「政策をじっくり評価して欲しい」という麻生首相・自民党の意向を無視し、いかに民主党・鳩山代表のボロが露わにならないようにするか、そうとしか思えない対応が続々と出てきている。

 新しい日本をつくる国民会議(21世紀臨調)主催によって、麻生太郎首相(自民党総裁)と鳩山由紀夫民主党代表による党首討論が12日に開催されることが5日、決まったそうだ。それは非常に喜ばしいことなのだが、自民党が開催の条件とした「テレビの地上波でノーカット放送」の要望は、NHKと民放各局が応ぜず、最終的に同党が譲歩することで開催が決定したという。

麻生首相と鳩山氏、12日に討論=衆院選へ直接対決-民間主催

8月5日21時25分配信 時事通信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090805-00000223-jij-pol

 前日の記事によると、「自民党がノーカット放送を求めるのは、衆院選での政権交代が現実味を帯びる中、「場面を好き勝手につまみ食いされたらたまらない」(党幹部)と、テレビ局側の対応への警戒感を強めているためだ。」と言う。これに対してNHKと民放各局が応じなかったということは、「場面を好き勝手につまみ食いしたい。」ということを、白状していることに他ならない。

自民、党首討論に難色=「ノーカット中継」条件-衆院選

8月4日17時45分配信 時事通信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090804-00000106-jij-pol

 民主党の代表就任直後に出演した『ニュースZERO』において、村尾キャスターのツッコミにここまでタジタジだった鳩山代表。NHK及び民放各局のノーカット放送拒否には、村尾キャスター以上に鋭い麻生首相のツッコミに、タジタジとなる鳩山代表の醜態を「ノーカット放送でさらしてはマズイ」、そうした思惑が働いたとしか考えられない。 

参考動画)

http://www.youtube.com/watch?v=J3gKBBYxXyo

 さらに、「民主党のマニフェストの矛盾点を全国にさらしたくない」という、一部マスコミの姿勢が見え隠れする出来事があった。何と、テレビ朝日とTBSが民主党の要望に応じる形で、自民党に対して番組出演中のフリップ使用を禁止すると通告してきたということだ。

 以下、自民党政務調査会調査役の田村重信氏のブログから転載。

 「ことの発端は、7月19日のテレビ朝日「サンデープロジェクト」。

 自民党の細田幹事長が、民主党の財源問題や安全保障問題を図式化したフリップを使って、岡田幹事長と激しく討論した経緯がある。

 司会の田原総一郎氏も自らフリップを使って、民主党の子ども手当の問題を厳しく追及し、岡田幹事長が答えに窮し激昂するという場面があったのだ。

 政策論争を深めるために番組中にフリップを使用するのは効果的で、視聴者の理解も深まりやすい。実際、司会の田原氏は、フリップを使って説明をした細田幹事長に「いつになくわかりやすかった」と評価したこともあるのだ。~中略~

 しかし、民主党は、政策論争をしたくないようだ。
 「政権交代」のスローガンと有権者の関心を買うバラマキ政策だけで、具体的な政策論争を避けたい民主党と、政権交代を側面支援したいと考えるテレビ局側の思惑が一致した形なのではないか。

 もし民主党サイドからテレビ局に対してクレームが入り、テレビ局側が民主党の要望を飲む形で、今回のフリップ使用禁止に方針転換したとしたら、大問題である。

 こういうことでは、民主党が政権をとったならば、政権とマスメディアの関係はどのようになるのだろうか。言論の自由も、表現の自由も、すべて民主党の都合のままに規制されるということか。それを牽制するジャーナリズムはないということか。彼らが戦前の教訓を生かしきれないとしたら、日本の将来は非常に危ぶまれる。」

2009年07月24日

テレビ朝日、TBSが民主党の抗議に屈伏か?番組中のフリップ使用を禁止

http://tamtam.livedoor.biz/archives/51214087.html

 さらにおどろくことに、テレビ朝日は自民党にはフリップの持込を禁止しておきながら、田原キャスターを使って民主党の政策をフリップを使って説明していたというから、あきれてものが言えない。これに対して田村氏は、怒りを交えて記している。

 「テレビ朝日は、民主党からの要請もあって、政党のからのフリップ禁止をした。ところが、今度は、写真のように8月2日の「サンデープロジェクト」では、民主党の主張をフリップにして、田原氏が説明しているのだ。これぞ偏向報道! テレビ朝日は、民主党に肩入れすぎで、テレビの公平原則からみて、明確な放送法違反だ!これは第2の「椿事件」ではないか。」

2009年08月05日

テレビ朝日が民主党の主張をフリップにしていた

http://tamtam.livedoor.biz/archives/51224229.html

 7月13日のブログで、「マスコミが煽りに煽って国民の熱狂的な機運を盛り立てたことにより戦線拡大を後押ししてしまった先の大戦と同じ轍を、今まさに踏もうとしている、そんな不安を抱かずにはいられない。」と記したが、その不安を一層増幅させる出来事が、今まさに進行しつつある。

2009年7月13日 (月)

いつか来た道。

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-c316.html

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