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2009年4月12日 (日)

自動車産業を支えることは是か?

 新年度が始まったばかりだというのに、早くもトヨタが2期連続赤字の見通しを発表した。直接的な原因は世界的な景況悪化による販売不振と円高による輸出採算性の悪化だが、そもそも短期的な経費削減ではとても追いつかないほど生産能力を増強し、固定費が膨れ上がったということが真因である。トヨタの米国経済に対する見通しの甘さについては、前日のブログでも書いた通りだ。

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-7782.html

 本日の日経新聞でも、トヨタファイナンシャルサービス取締役の平野英治氏は、「07年八月のサブプライムショックでリスクが証券化を通じて欧州に飛び火していると分かった。それでも新興国が世界経済を支え、実体経済は大丈夫だと考えていた。」と、見通しが甘かったことを白状している。

 そもそもトヨタは、自分のコントロール下にある「カイゼン」には滅法強いが、コントロール下にない不確実な未来に対して鋭い洞察力を働かせるような優秀さを持ち合わせていないのではないか、と先日も指摘した。たまたま今までは顕在化しなかったに過ぎなかったにもかかわらず、手放しでトヨタを礼賛する書籍がやたらと出回ったことに違和感を覚えたが、その違和感に間違いはなかったようだ。 

トヨタ、2期連続営業赤字の見通し=6年ぶりに販売700万台割れへ
4月12日17時1分配信 時事通信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090412-00000040-jij-bus_all

 そんなトヨタを下支えするかのように、高速料金の値下げ、さらにはエコカーに補助金と、自動車産業に対する露骨な政府の後押しが目白押しだ。個人的にはエコのためなら自動車よりも公共交通機関の利用を促進すべきではないか、と言う点で矛盾を覚えたのだが、経済学者の池田信夫氏は別の観点で自動車産業への補助的施策に異議を唱えている。

 「日本経済にとって本質的な問題は一時的な需要の追加ではなく、持続可能な潜在GDP――Mankiwの言葉にならうと自然GDP――の水準をいかに高めるかである。これはマクロ経済学というより、成長理論のテーマだ。(中略)経済成長の最大のエンジンがイノベーションだということについては、理論的にも実証的にも広い合意があり、成長理論においても「新しいコンセンサス」ができつつあるといってもよい。しかしこの場合のイノベーションとは技術革新ではなく、企業の新陳代謝である。

 (中略)各国を比較した実証研究で成長率を決める重要な要因とされるのは、資本市場の発達、労働市場の柔軟性、財産権の保護、教育、研究開発投資、市場開放などである。政府が成長率を高めることができるとすれば、こうしたメタレベルの制度設計によってであり、直接に特定の産業を「育成」するターゲティング政策は、先進国では有害無益である。」

 自動車産業や家電など、今までわが国経済を支えてきたモノづくり産業・輸出産業を支援することで、日本経済の回復を図ろうという試みは、従来の産業構造を延命させる行為であり、新たな産業構造への転換をむしろ遅らせることになりはしないか?

 かつて、竹中平蔵やウシオ電機会長牛尾治朗氏は、これら輸出産業を称して”ストロング・ジャパン”と呼んだ。そしてその強さの源泉は、市場経済の競争にさらされ、規制や補助を頼っていないことにあると述べていた。であれば、これら産業に”エコ”の美名の下に補助の手を差し伸べることは、(「景気の底割れを防ぐ」、という緊急的措置としては有効かもしれないが)中長期的に果たしてプラスと言えるのか、甚だ疑問に残るところである。

 参考) 池田信夫 blog 

「成長戦略とは何か」

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/e4e70748ce779a91b2d0846cd3a2fb72

「希望を捨てる勇気」

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/6f12938eaad206d10b7629456f0a051e

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