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2009年3月31日 (火)

続 新たな需要は「カイゼン」ではなく「革新」から生まれる。

 名古屋が好景気に沸く頃、いわゆる”トヨタ礼讃本”が本屋にあふれた。販売面では日本国内で減少が続き、生産面ではジャスト・イン・タイムで系列会社に無理を強いるトヨタを褒め称えるこれら書籍にミョーな違和感、気持ち悪さを覚え、一切買う気が起きなかった。 昨年参加したセミナーにおいて、コトあるごとに「トヨタではこうしている」、「トヨタはこんなに素晴らしい」と礼讃する講師にも、やはり違和感をぬぐえなかった。

 そんなトヨタが赤字に転落した。実体経済の面で中部地方にとどまらず日本全体に大きな影響を与えたのみならず、”強い日本企業”の代表格であったトヨタが赤字に転落した、という心理的な影響も無視できない。

 果たしてトヨタの赤字転落は、すべてが米国の景気後退と言う外的要因で、内部的なト問題はなかったのか?それを探るための格好のテキストである『トヨタ・ショック(井上久男著)』を読んだ。同書によると、すでに2007年10月~12月期で北米市場に翳りが見えてきたにもかかわらず、希望的観測から「今年(2008年)の米国市場は昨年並みか若干落ちる程度」といった甘い見落としのもと生産力を増強、以降も対応が後手後手に回るなど、経営陣の判断ミス、対応の遅れが目立った。

 一方、ホンダの福井威夫社長は「販売奨励金を上積みするくらいなら減産を選択」し、純2009年の純利益見込は87%減ながら黒字を確保する見込みだ。また、スズキの鈴木修会長は近年の急激な成長に危機感を強め、”勘ピューター”を駆使してサブプライム問題が発覚する前から在庫調整を指示、こちらも連結で63.3%減ながら黒字確保を見込んでいる。

 ホンダ、スズキとトヨタの業績の差は何故生じたのか?そもそも、トヨタは、”カイゼン”に代表されるように、「自社のコントロール下にあるものをコントロールし切る」と言う点ではダントツの強さを誇っているかもしれない。しかし、コントロール不可能な外部環境への対応力という点では、決して優れた企業とはいえないのではないか。2006年に発売された『トヨタの正体』では、今のトヨタの惨状を予告するかのように、こんな表現を用いている。

  「トヨタマンは元気いっぱいで知力も体力もあり、トップが決めた目標に向かって、一致団結して邁進します。しかし目標自体を疑うことはしない。目標が間違っていた場合でも、集団奈落の底に飛び込む恐れもあるのです。」 と。

 ホンダはもともと二輪車メーカーであるが、二輪車事業は今回の世界的な景気の悪化局面において、四輪車よりも落込みが少ないという。さらに3月29日の日経新聞一面によると、航空機事業にも本格参入し、来年には一号機納入、すでに数百機の受注を見込んでいるという。

 一方のトヨタは、『トヨタ・ショック』の紙面のどこを読んでも、あくまで”四輪車”の範疇でしか事態打開の策を打ち出せてない。もちろん、それは一定の効果を生み出すであろうし、米国経済が一定の回復を見て、かつ発展途上国の市場が伸びれば、今後まだまだ成長余力はあるだろう。

 しかし、”非連続の時代”の到来を迎え、「革新」にチャレンジするホンダと、あくまで”連続の時代”の範疇で「カイゼン」を続けるトヨタ、5年後、10年後にどちらの企業がエクセレント・カンパニーとして輝いているであろう?両社の今後の展開と業績の動向は、非常に興味深いものとなるだろう。

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続 ”報道”の名に値しない報道ステーション

 古舘伊知郎の余りに情緒的、扇情的なコメントが気に障るのでめったに見ないが、見ると腹が立つのでついブログのネタにしてしまう、『報道ステーション』。

「地に落ちたり、マスコミ」

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-739c.html

「”報道”の名に値しない報道ステーション」

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post-5548.html

 そんな報道ステーションに、ついにBPO(放送倫理・番組向上機構)が、重大な放送倫理違反がありとの認定を下した。以下、抜粋。

 『同ニュースでは参院議員の集会での野中氏の映像などを放送。決定は「放送内容全体から受ける印象において、一部の視聴者にあたかも申立人(野中氏)が政治力で膨大かつ不要ともいえる事業を持ってきたという認識を生じさせた」とし、「全土連の政治力を印象づけることが目的だとしても極めて安易、短絡的」と批判。
 さらにキャスターがニュースの最後に「(補助金が)じゃぶじゃぶ使われているきらいがある」と発言した点について「放送当時の裏付け取材の範囲を超え、断定的に、視聴者にすべての補助金が適正に使用されていないのではないかとの認識を与えかねない不適切な表現」とした。』

 今までテレビ不祥事といえば、VTRにおけるやらせ、悪質な印象操作など、もっぱら制作側の姿勢が問題とされ、キャスターの発言そのものが問題視されたのは珍しい。思い出すところでは、不二家に「廃業したほうが良い」と発言したみのもんだくらいだろうか。古舘・みのの両者に共通するのが、政府・与党・大企業イコール悪、野党・弱者・庶民イコール善という単純な図式のもと、ずさんな事実認識の中で正義を気取った発言をするところだ。

 そのような人材に、”報道”を掲げる番組のメインキャスターを任せてしまうという危うさ。今後、広告収入はますます減る中、テレビは品質劣化を防ぐことが果たして出来るのだろうか?

 「報ステ」に重大な倫理違反=放送人権委

3月30日18時42分配信 時事通信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090330-00000105-jij-soci

 

 追記:テレビ朝日は、連日に渡って不公正な放送を指摘された。新聞離れ、テレビ離れ、さらに連日の不祥事で、ますます窮地に追い込まれる朝日新聞社に未来はあるか?

テレビ朝日に厳重注意=番組が放送法に抵触-総務省
3月31日17時1分配信 時事通信

総務省は31日、テレビ朝日が1月10日に放送した「情報整理バラエティー ウソバスター!」で、番組用に作成したインターネットのブログを実在する第三者のもののように紹介したことが放送法に抵触するとして厳重注意するとともに、再発防止に向けた取り組みを要請した。
 テレビ朝日は、実在するブログの作成者から最終的に撮影許可を得られなかったため、「番組スタッフが新たにブログを作成、放送した」と説明。「極めて不適切だった」とした上で、再発防止に向けてチェック体制の充実とスタッフの意識向上などの取り組みを強化するとしている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090331-00000117-jij-bus_all

参考ブログ

http://tomoyuki0506.at.webry.info/200903/article_31.html

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2009年3月30日 (月)

大企業は人材輩出業たれ!

 若者の安全思考、リスク回避志向が強まっている。マイクロミルが2月に行った調査によると、いまどきの20代の8割は貯金をしており、『今後も積極的にお金をかけたいことにを聞くと、「預貯金」が最も多く44.2%、次いで「国内旅行」が37.2%、「洋服、ファッション」が36.2%だった。』とのことだ。そのほかにも、『酒離れ』、『車離れ』、『海外旅行離れ』など、若者が従来の世代と比べて、明らかに消費が堅実化している様子が伺える。

参考記事

http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0803/05/news050.html

http://www.j-cast.com/2007/08/23010562.html

 そのような若者の消費性向を嘆いても仕方がないが、リスク回避志向の高まりは由々しき問題だ。社会経済生産性本部が新社会人に対して毎年行っている調査によると、「今の会社に一生勤めたい」とする回答は4年連続で上昇しており、が2008年春に実施した調査(47.1%)に引き続き、秋(今回)の調査でも39.5%と過去最高となった、とのことだ。

参考記事)

http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0812/22/news045.html

 今の時代、向こう40年間企業が安泰なんてことはありえない。それどころか10年後すら読めない情勢だ。にもかかわらずというか、それゆえと言うか、入り口段階で安心できるところに就職して、そのまま一生お世話になろう、という新社会人が4割もいる、というのは驚きだ。

 小さなリスクを回避し続けるのは、将来的にはいかにに危険なことか、むしろエンプロイアビリティ(employability= 個人の“雇用され得る能力”)、さらに言えばサバイバビリティ(survivability=生き残る力)をいかに磨くことが大切かを知ってもらうためにも、彼らには勝間和代氏の『会社に人生を預けるな』と本田直之氏の『本田式サバイバル・キャリア術』を読んでもらいたいものだ。

 それはともかく、そのような若者のリスク回避志向、安全志向をただすべく、家族社会学の専門家である山田昌弘氏は本日の日経新聞インタビューにて、『大企業の採用は30歳からに』、と提言している。

 紙面によると山田教授は、「大企業の総合職と官庁のキャリアについては、三十歳くらいまでは法律で採用を禁止してはどうでしょう。大学を出たら、有能な若者も例えば中小企業に就職する。年齢の下限を超えてから大企業の総合職などの試験を受けられるようにするのです。中小企業が面白くなったら勤め続ければいい。中小企業の活力も高まると思います。」とのたまっている。

 山田昌弘氏は、「パラサイト・シングル」という言葉の名付け親であり、『希望格差社会』の著書で一躍”格差社会”の本質を世に問うた、優れた社会学者であると、私も認めるところである。ただし、残念ながらこの提言はまったく持って非現実的、的外れといわざるを得ない。

 第一に、大企業は法人数で言えば0.3%に過ぎないのだが(中小企業が99.7%)、常用者数は33.8%と3分の1の雇用を抱えている(中小企業白書2008年版より)。したがって、大企業の新卒採用を禁止してしまったら、中小企業がその受け皿にはとてもなりえない。

 第二に、人材の育成力・輩出力という点では、むしろ大企業の方が優れており、新卒で中小企業に勤めてしまうよりも、大企業で育成された人材が中小企業に人材が流れる方が、日本社会にとってむしろ良い効果を促すと思われるからである。

 確かに、大企業に入ったゆえに組織に染まって「カイシャ人間」となってしまう人材もいるだろう。しかし、手厚い新入社員研修によってビジネスの基礎を叩き込まれ、その後も継続的に体系的なビジネスの基本を学べる、という点では大企業の方がはるかに整備されている。さらに、大企業ゆえに大胆なチャレンジを行うことも可能で、これによって有能な人材が鍛え上げられ、外に飛び出して活躍している例も少なくない。

 人材を輩出している企業としてもっとも有名なのは「リクルート」だろう。「iモード」の生みの親で現バンダイ取締役の松永真理氏、(問題もやらかしたが)元ダイエーホークス社長の高塚猛氏、さらには杉並区立和田中学校校長の藤原和博氏と、教育界にまで人材を輩出している。また、ローソンの新浪 剛史社長や日本最大の食品スーパーであるライフコーポレーションの現社長岩崎高治氏は三菱商事出身だ。

 コンサルタントから経営者への転進の例で言うと、ボストン・コンサルティングからはミスミの代表取締役社長である三枝匡氏、全産業再生機構COOで 現”経営共創基盤”代表取締役の冨山和彦氏、現マイクロソフト日本法人、前ダイエー社長の樋口泰行氏と、なかなか骨太の人材を輩出している。

 いずれも、大企業から大企業への転進ではあるが、まったく違う業界への転身にもかかわらず力強い経営力で企業に新たな生命力を吹き込んでいるのは間違いない。「若者が3年で会社を辞めてしまう」のはいかがなものかと思うが、一定のキャリアを積んだ人材が、大企業を飛び出して中小企業に転身する、その流れを作り出す政策提言をする方が、はるかに現実的であり、かつ日本経済の活性化に寄与するのではないだろうか。

参考) 同じような感想を持たれた方のブログ

http://ameblo.jp/feelworks-maekawa/entry-10233152997.html#tbox

 かく言う私も、20代を(一応)大企業で過ごし、色んなことを学ばせていただいた上で、中小企業に転身、今は中小企業診断士として中小企業の支援に携わっている。上記の人たちから見れば、はるかに青二才ではあるが、何とか中小企業の支援を通じて社会の活性化に寄与して行きたい。

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2009年3月28日 (土)

テレビ、敗北宣言。

先日、3/20(土)に放映されたNHKの討論番組、『日本のこれから どうなってしまう?テレビの、これから」の記事を書いた。

「「マス」をターゲットにし続けるTVに未来はあるか?』

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/tv-fc71.html

 この記事にもある通り、NHKとあろう局が公共の電波を使いつつ、余りに業界よりの番組を垂れ流していたため、私は途中で見るのをやめてしまったのだが、その後にものすごいシーンが放映されたらしい。すでにネット上では話題騒然となっているのだが、一般参加者の浅野さんと言う方が、「テレビは信用できない、それはテレビは情報の一部をつまみ食いし、その背景をしっかり伝えないからだ」、と主張し、その例として”騒音おばさん”をめぐるマスコミ報道を挙げた。

↓いつ削除されるかわからないが、You Tubeの映像

http://www.youtube.com/watch?v=3R_bf39lEPM

 私は、単に「”騒音おばさん”なる女性を、ワイドショーからお笑い番組にいたるまで、あまりに面白おかしく取り上げたことはいかがなものか」、と言う物言いだと思ったが、どうやら、そんな単純なことではないようだ。それが証拠に、この話題を提起した途端に会場は凍りつき、司会者(三宅民夫アナ)はうろたえ、後ろで咳払いする業界人も垣間見えた。

参考サイト一例)

http://blogs.yahoo.co.jp/deliciousicecoffee/39491730.html

http://d.hatena.ne.jp/p_wiz/20090322/p1

http://www.yukawanet.com/sunday/2009/03/nhk_2.html

 いくつかのサイトから情報を拾い上げてみると、騒音おばさんは理由もなく騒音を撒き散らしたのではなく、マスコミ上は被害者とされていた近所の住民(とその仲間たち)が相当に彼女に対して嫌がらせをしていたのは間違いないようだ。

参考サイト)

http://blog.livedoor.jp/canary_wind/archives/50793351.html

 問題は、浅野さんが指摘していたように、にもかかわらず「なぜそれをマスコミは一切報道しないのか」、また「そもそもの発端となったカメラに怒鳴りつける彼女の姿、あれば一体誰が撮影していたのか?」、それに対して凍りついた会場、誰もコメントできずうろたえる司会者の姿が、今のテレビを始めとしたマスコミの限界を如実に表している。

 この番組を通じてNHKは、「いかにすればテレビはお茶の間の主役を取り戻せるか?」、「情報提供媒体の中枢であり続けられるか」、その答えを見出したかったかのしれない。しかし、図らずも浅野さんの指摘とそれに対する業界人の反応によって、テレビはもはや「お茶の間の主役」、「情報提供媒体の中枢」の座から滑り落ちていることを日本全国に知らしめてしまった。

 彼らがいかにタブーを回避して情報にフィルターをかけようと、インターネットの登場、特にブログや動画サイトを通じて、化けの皮はあっという間に剥がされてしまう。もはや、情報はマスコミが一方的に発信し、一般人はそれを受動する存在に過ぎなかった時代は終焉した。嶌 信彦がいくら、「ジャーナリズム精神が大切だ」、と個人の意気込みに事態打開の糸口を見出そうとも、業界全体として浅野さんの指摘を真摯に受け止められない限り、テレビの凋落は止まらない。

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2009年3月25日 (水)

「マス」をターゲットにし続けるTVに未来はあるか?

 3月21日(土)の19:30より、NHKで放映された討論番組『日本のこれから』のテーマは、「どうなってしまう?テレビの、これから」であった。それまでは、雇用問題や裁判員制度など、社会的に意義のあるテーマであったので、非常に興味深く見ることが出来た。しかし今回は「テレビ」というテーマであったため、NHKといえども業界寄りの立場からは逃れられず公平な番組とは言い難かったため、途中で見るのを止めてしまった。

 そもそも、討論参加者が一般市民とテレビ関係者に限られており、「テレビ離れは問題だ」、というスタンスで進行していたことが大いに問題であった。公平さを期すのであれば、「テレビ離れ、大いに結構」という人が、いてしかるべきではなかったか。それ以前のテーマであれば、「働きたくても働けない」、「今の賃金では生活が成り立たない」のは社会的に大いに問題だが、20代の若者の2割近くが「ほとんどテレビを見ない」という状況は、テレビ関係者にとっては問題かもしれないが、一市民・国民にとっては特段悪い話ではない。

同じような印象を持たれた方のブログ

http://d.hatena.ne.jp/solidarnosc/20090323

 討論の中で当然の様に話題に上がったのが、テレビ業界の「視聴率主義」である。これについて、出演していたある民報の幹部は、「スポンサーがいる以上、視聴率の呪縛からは逃れられない」といった趣旨の発言をしていた。ここで大いに考えるべきは、「視聴率」は数字で語られてはいるものの、その先に「どのような属性(性別、年齢、ライフスタイルなど)の人が見ているのか?」までは判らない、という点だ。そのためテレビ局は、万人向けの番組を作らざるを得ず、それが消費者離れを引き起こしている上、スポンサーも期待した広告効果を得られない、という悪循環を引き起こしているのではないだろうか。

 企業経営の世界では、マーケティングの基本中の基本として、「ターゲットマーケティング」という考え方がある。これは、市場(顧客)を何らかの属性に応じ細分化し(市場細分化)、その特定市場(顧客)に即した商品・サービスを開発、提供していこう、というものある。この対極にあるのが、「マスマーケティング」だが、戦後間もないモノ不足の時代ならともなく、モノも情報もあふれている現在は、外食産業のファミリーレストランや小売業のGMSの苦戦が示しているように、マスマーケティングは通用しなくなりつつある。

 翻って、テレビ、特に民報は、「お茶の間の一般大衆」というマスに対する番組を提供している、まさにマスマーケティングの世界である。深夜で面白い番組がゴールデンに進出した結果(少し前なら『カルトQ』、『トリビアの泉』、今で言えば『やりすぎコージー』など)、マニア向けの内容が薄められ魅力が減退してしまうのも、”マスマーケティング”の呪縛によるものである。

 さらに言うと、テレビ局というのは実質的に新規参入がなく、現在のごく寡占化されたプレーヤーのみで運営されていることが、構造的な問題として浮かび上がる。にもかかわらず、NHKの番組では、そこのメスを入れることなく、業界関係者のみを集めて、「テレビ離れを何とか阻止しよう」と言っても、土台に無理な話なのである。

 寡占化されたテレビ業界は、外食産業がファミリーレストランだけで構成されているようなものである。プレーヤが限られれば、狭い市場を狙う動機付けはなされず、自ずからマス市場を狙った商品に偏ることとなる。まさに今のテレビ業界は、オール”ファミレス”状態である。今後も万人向けの商品を提供し続けている限り、インターネットや携帯電話、テレビゲームその他の専門的なコンテンツに、市場を食われ続けることに歯止めがかかることはない。

 そのヒントとして、3月20日(金)の午後10:00には、「FM40年記念番組 FMに愛を込めて」なる番組が、これまたNHKで放送されていた。ここで興味深いのは、FM放送が阪神・淡路大震災をきっかけに規制緩和が進み、ごく小さな行政区域であっても新たな放送局を立ち上げることが可能となり、現在220を越える放送局が全国にあるということだ。

 ラジオ・テレビの違いはあれど、このように新規参入の壁を低くすることで、報道専門、スポーツ専門、文化専門、ローカル専門といった個性のあるテレビ局が立ち上がり、「マスマーケティング」から脱却することが、今テレビ業界に求められていることではないだろうか。

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2009年3月21日 (土)

景気回復の兆しあり?

 マスコミ、特にTVのニュースからは、「出口の見えない不況」、「ますます悪化する経済状況」といったニュースが絶えない。その結果、消費者はますます財布のヒモを固くして、景気回復が遅れる・・・、といった事態を招いているのは否定できない。

 近くの家電店に足を運んでみると、新作デジカメから大型TV、さらには話題のネットブック売り場には人だかりができており、とても不況とは感じさせない。平成21年2月の百貨店売上高は前年比で11.5%減と、過去最高のマイナス幅を記録したらしいが、一方で薄型テレビの2月の販売台数は前年同月比31.3%増、ブルーレイ・ディスク(BD)方式のレコーダーなども28.0%増と(BCN調べ)、むしろ消費意欲は増進していることが見て取れる。

 これに加え、高速道路料金値下げ特需、定額給付金特需、さらにはWBC特需も加わって、国内消費から景気回復の兆しが本格化することを期待したい。そのためにも、マスコミは、こうしたプラスの情報も公平に報道して欲しいものだ。景”気”というくらい、景気は気分で左右されるものなのだから・・・。

 ただし、景気回復の恩恵は、満遍なく行き渡るわけではない。今や消費者は十分賢く、機能が必要十分で、かつ適正価格なものにのみ、財布のヒモを緩めることを、くれぐれも忘れてはならない。

『2月全国百貨店売上高は‐11.5%、特殊要因除くと下落率は最大』

3月19日16時19分配信 ロイター

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090319-00000707-reu-bus_all

『薄型テレビ、大画面が牽引 2月デジタル家電、復調の兆し』
3月10日8時33分配信 フジサンケイ ビジネスアイ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090309-00000005-fsi-bus_all

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2009年3月18日 (水)

経済のサービス化、すなわちオールマーケティング時代。

 先日、東京にてのセミナーに出席したところ、ダイヤモンド社のカリスマ編集者である飯沼一洋氏の言葉に感銘を受けた。彼曰く、「マーケティングとは人の心理を深く知ること、すなわち愛だ」、ということだ。

 参考)飯沼一洋氏のブログ 『「日本ベスト10」に3冊入れる編集者のブログ』

http://ameblo.jp/iinumakazuhiro/

  ”愛”とまで言われると、少々気恥ずかしい気がするが、セブン・イレブンの創始者である鈴木敏文氏も「マーケティングとは心理学だ」といっており、違った分野のトップランナーが共通して言っているこの言葉は、普遍的な真理であると言える。

 さて、「経済のサービス化」と言う言葉が言われて久しい。平成17年の中小企業白書では「サービス経済化と製造業のサービス化」という表現を用い、『徐々に消費構造が「モノ」から「サービス」へとシフトしている(第2-1-16図)。こうしたサービス経済化の動きがみられるのは、サービス業の増加だけにみられるものではない。製造業において~中略~ソフトな経営資源への投資ウェイトが高まっている。』と述べている。

 すなわち、今までは「モノ」を作っていればよかったが、今後は製造業においてもサービスの重要性がますます高まることは間違いない。そのためには、経営者から末端の従業員に至るまで、マーケティングすなわち顧客の心理に対する深い洞察が求められる、ということが言えるだろう。

 さて、本日の日経新聞によると、折からの不況でいわゆる「派遣切り」が進む中、製造業からサービス業に人材がシフトしつつあるが、そこで上手く適応できない人材には、「モノ」づくり出身者が多い、とのことだ。特に介護・福祉業界は、この時勢は深刻な人手不足の解消の絶好のチャンスであるわけだが、労働環境の厳しさや待遇の低さという外的な要因に加え、「人と接するのは苦手」という製造業出身者の内面的なハードルもネックになっているのではないか、と推測している。同記事で服部万里子・立教大学教授は「介護は人と人がかかわり合う究極のサービス業」と述べているが、黙々と「モノ」づくりに従事してきた人にとって、人の心理に関わるサービス業への転換は、容易ではないのだろう。

 「製造業もサービス化が進む」という中で、ひたすら部品のように作業だけしてきた(させられてきた?)人々を抱え、そして用がなくなれば放り出す、そうした”ツブし”の効かない人材を抱え続けてきたメーカーが悪いのか?はたまた、それに甘んじてきた個々人が悪いのか?いずれにせよサービス化が進めば進むほど、一人ひとりが「人間の心理」に無関心でいられなくなるのは、間違いない。

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2009年3月16日 (月)

現場主義は是か?

 「事件は現場で起きている」は、『踊る!大捜査線』の青島刑事のセリフだが、日本のモノづくり産業の強さは、この”現場主義”にあるとよく言われる。ちなみに、”現物”・”現金”を加えて”3現主義”なんて言葉もある。

 本日のNHKニュースでは、経済危機に対して麻生内閣が緊急の有識者会議を発足させることが伝えられた。これに関する街角インタビューで、大田区の中小企業の社長さんが、「机の上で考えたことではなく、現場を見た上で決定してもらいたい。」とのコメントを寄せていた。

 これは至極もっともなこと。ただし、ここで気になったことがある。「果たしてこの社長の言っている”現場”とは、どこまでを指しているのだろう?」、と。製造業の経営者は、現場が大好きだ。それも製造現場が。欧米に限らず韓国などでは、社長自身が作業着を着て現場で油まみれになる、なんてことはありえないと、聞いたことがある。経営者はあくまで経営を行い、現場の作業はワーカーが行う仕事だという考えだ。

 これに対して日本では、経営者と社員が一体となって、社長も作業着をまとって頑張っている。この姿は日本人である私にとっても誇らしい光景だ。ただ時として、この”現場主義”が弱みとなりうることも、あるのことを忘れてはいけない。つまり、製造業の経営者が「現場大好き」、「現場を大切にしている」といっても、それは製造現場に限った話であることが多い。もう一つ忘れてはならない現場、それは販売の現場、つまりマーケット、顧客の現場である。

 賛否両論あるだろうが、今や時の人である勝間和代氏は、執筆に25%、いかに売るかに75%の力を注いでいると言う。その結果、彼女が出す書籍はことごとくベストセラーとなり、出版不況といわれる現在において、出版業界や書店を潤わせている。彼女と脳科学者の茂木健一郎氏の出版が途絶えると、とたんに書籍の販売額は前年割れを起こすほどだと言う。

 販売にどこまで力を入れるか、そのバランスに正解はないかもしれないが、これだけは言える。現場が大切、製造の現場も、そして販売の現場(マーケット)も。

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2009年3月12日 (木)

縮小均衡の百貨店に未来はあるのか

 先日、初めて栄のど真ん中にある某百貨店に足を踏み入れたところ、中に百円ショップが入店していて非常に度肝を抜かれた。こうまでして、百貨店は集客力不足を補おうとしているのか、と。そこまでは行かないにしても、現在ユニクロには百貨店からの入店依頼が殺到しているらしい。

 日本百貨店協会によると、平成20年の全国百貨店の売上高は前年比4.3%減、平成21年1月にいたっては9.1%減と、過去最悪のマイナス幅を記録した。そして2月は速報値で、かつ昨年がうるう年であることを割り引いて考える必要があるが、高島屋は14.6%減、伊勢丹は12.7%減、大丸が15.0%減、松坂屋が15.5%減、三越は12.4%減と、さらに事態は深刻さを増してきている。

 このような絶望的な事態を受け、百貨店各社がコスト削減対策として打ち出してきているのが「営業時間短縮」である。本日の日経新聞によると、伊勢丹は吉祥寺店など4点で営業時間の30分短縮を。三越では8店の営業時間短縮に加え、一部店舗では休業日も設定するという。

 「いったい何時閉店になるんだ?」と思ったら、伊勢丹の吉祥寺店や松戸店は閉店時間を30分縮めて午後七時にするとのことだ。閉店時間を短縮すること以上に驚かされたのが、これら百貨店の閉店時間が今まで7時半だったという事実である。イオンのように閉店時間が午後10時や11時、さらには24時間営業まで行うのはさすがにいかがなものか、という気がするが、そもそも閉店時間が7時半では、少し残業してから店に立ち寄ることが難しい。ましてや閉店時間が7時では、少なくとも正社員に関しては定時に上がらないとゆったりと買い物を楽しむことも出来ない。

 となると、7時閉店でもゆっくり買い物が楽しめるのは、高齢者層かパートタイマー層、となる。パートタイマー層は可処分所得が少なく、高額品が売れる見込みはさらに少なくなる。また、高齢者層が顧客の中心となると、品揃え・サービスが高齢者向けに偏り、若年層はますます店から遠のくこととなる。

 そうした懸念があるにもかかわらず、営業時間を短縮するということは、よほど事態の深刻度合が大きいのだろう。それにしても何ゆえ好調時に(せめて8時までに)営業時間を延長し、より可処分所得の大きい正社員層の取り込みを積極的に行ってこなかったか?そうした変化対応の遅れが、現在の百貨店の苦境を招いたといえるのではないろうか。

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2009年3月 4日 (水)

地に落ちたり、マスコミ。

 民主党の小沢代表が、北朝鮮拉致問題について「資金提供と引き換えに拉致被害者の帰国を実現するしかない」とコメントした日、マスコミは麻生首相が定額給付金を受け取る旨を表明したことのバッシングに集中、中には「定額給付金の使い道は?」といった愚問を首相に投げかけていた阿呆もいた。

 そして今日、小沢代表の第一秘書逮捕に至るや否や、マスコミは「国策捜査だ」と小沢・民主党の露骨な擁護。報道ステーションの古舘伊知郎は「これ以上、政治的空白をつくるな」って、この問題は程ほどでスルーしろってこと??

 あれだけ自民党・麻生バッシングに熱心なマスコミが、民主党・小沢代表の問題となると、「これは陰謀だ!」と大合唱。むしろ、ここまで麻生降ろしに熱心なマスコミこそ、陰謀が渦巻いている。それに我々国民が気づかなければ、選挙は「第四の権力」であるマスコミの思うがままである。

【小沢氏秘書逮捕】小沢民主党 賭けの「強行突破」
3月4日13時17分配信 産経新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090304-00000548-san-pol

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2009年3月 3日 (火)

地産地消?

 『地産地消』とは、主に農産物について、地元で取れたモノを地元で消費しよう、という運動のこと。これは地域の生産者を経済的に潤すというメリットに加え、運送に伴うエネルギー節約につながるというフード・マイレージの考えに基づくエコ活動の一環としても推奨されている。

 ところで、本日のニュースによると、企業城下町のいたるところで、農産物ではなく工業製品の”地産地消”的な動きが伝えられた。具体的には、三菱自動車の城下町においては三菱自動車を購入した町民に、先着200名で町から10万円のキャッシュバックが受け取れるというもの。マツダやソニーの関連メーカーが立地する企業城下町においても同様の動きが見られるという。

 これら大手メーカーが地元から撤退すれば、その工場のみならず、部品メーカーなど関連メーカーも含め、地元経済や雇用や大きな影響をもたらす。地元としては何とかしたいとの思いからの措置であろうと思う。しかしNHKのニュースによると、大手メーカーの立場では、地元が購入を促進する動きをしてくれるのは有難いが、工場を国内に置き続けるかどうかは別問題だとそっけない。

 確かに、地元のこうした行動は涙ぐましいものがある。しかし、これを税金を投入してまで行うのはいかがなものか?何せ大手メーカーが相手にしているのは世界市場である。日本自動車販売協会連合会が発表した2月の新車販売台数前年比は、ホンダが21.1%台、トヨタが32.0%台の落込みに対し、三菱自動車は50.5%超と突出した落込みを記録しているという。たかだか、地元が数十台買い支えたところで、どれだけの足しになるだろうか。それよりもむしろ、特定の重厚長大産業に依存した産業構造から脱却すべく、次なる産業を創出・育成することがむしろ大切ではないだろうか。

 短期的な施策として心情的にわからないでもないが、行政も我々民間人も、競争力を強化するために中長期的に何をすべきか、真正面から考えて取り組んでいく必要があるだろう。 

三菱車買うなら「10万円補助」に市民続々…岡山・総社
3月2日12時36分配信 読売新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090302-00000559-yom-bus_all

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