真の”経営力”が問われる時代がやってきた。
昨日読んだ本は、野口悠紀雄の『世界経済危機 日本の罪と罰』。本日見たTV番組は、『NHKスペシャル 衝撃・世界自動車危機』。
いずれも共通した認識であるのは、アメリカの過剰な消費(浪費)社会は間違いなく世界経済は大きな恩恵を与え続け、こと自動車を中心とした輸出産業が外貨を稼ぎ続けることで日本は大きな恩恵を受けて来た(それが末端まで行き渡ったかはともかく)。そして、そのアメリカのバブルがはじけたことが、世界を未曾有の大不況に陥れ、輸出産業に頼ってきた日本経済もその影響を大きく受けている、ということである。
野口悠紀雄は指摘する。「日本は一貫してものづくり中心、輸出で外貨を稼いで来た、という点では、バブル崩壊後も産業構造は何ら転換していなかった。むしろ米国の異常な浪費の恩恵に預ったことで、むしろ産業構造の転換が遅れてしまった」、と。この指摘は大いにうなづけるものだ(後半の、「だから日本も高度な金融専門家の育成を急ぐべきだ」という指摘は首を傾げるが・・・)。
NHKスペシャルは前半で、最終的にはバブル崩壊にまで至らしめた米国の行き過ぎた消費社会を支えたのは金融であったことを伝える。そして後半では、今までGMやトヨタの下請けとして恩恵を受け、今苦境に立たされている日米の自動車部品メーカーの経営的転換を伝える。いずれも方向性は違うが、トヨタ一辺倒、自動車一辺倒から脱却し、新たな事業の柱を打ち立てて行こうとする模様を伝えて番組は終了する。
非常に生意気な言い方をさせてもらえれば、彼らはようやく「経営」の第一歩を踏み出した、と言えるのではないだろうか。なるほど、彼らは確かに良い製品を作り続けてきた。しかし彼らの繁栄はすべて親会社次第。自ら繁栄を切り開いてきたようで、実は親がコケれば自分の存在も危うくなる、非常に危うい経営基盤の中で事業を進めてきた。今まで、その危機が顕在しなかったから、ひたすら品質向上と効率化にさえ邁進していけば、事業は上手くいくように思えた。しかし、品質向上と効率化の徹底は、経営の必要条件であるかもしれないが、十分条件ではなかったのである。
さて、日本経済に目を遣れば、我々の豊かな暮らしも、大雑把に言って”品質向上と効率化の徹底によるものづくり産業”が浪費大国アメリカからマネーを獲得して来たことで成り立ってきた。しかし、そのビジネスモデルではやっていけない時代が、今まさに始まっている。
今や、日本という国全体が、真の”経営力”が問われる時代となった。リーマンショックは、その時代のカーテンを開けたと言っても過言ではない。我々は、かつて経験したことのない苦しみを乗り越え、新たな時代を切り拓くことが出来るのか?日本の底力が試される。私も、その一端を担うものとして、新たな時代に立ち向かって行きたい。
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