賽は投げられた、ルビコン河を渡れ。
上記の言葉は、ローマ時代の軍人、ユリウス・カエサルがポンペイウスとの戦いにおいて、不退転の決意を示すために発したものと言われている。アメリカ合衆国のオバマ大統領は、「Change!Yes,we can」をスローガンに当選を果たしたが、今の時代この「Change」は決して軽いものではなく、『ルビコン河をわたる』くらいの覚悟が必要な、劇的な変化を求められていると言っても過言ではない。戦後一貫して輸出産業に頼り切って来た経済構造からの転換を迫られている時代なのだから。
昨日のNHKの緊急特番は、「雇用」を巡る討論番組であった。いわゆる「派遣切り」によって職を失い、住む場所すら奪われた人たちがごく短期間に急増し、大きな社会問題となったのは周知の通り。と同時に、彼らが次の職を求めてハローワークに通いつつも、製造業や事務などの人気職種を希望し、警備職や介護職などは相変わらず人手不足、という状況も無視は出来ない。
こうした、いわゆる「雇用のミスマッチ」に関しては、「求職者はより好みをすべきでない、働けるだけでありがたいと思わなきゃ」との意見も多く、昨日のVTR を見る限りでは、私もそうした感想を持たざるを得なかった。たとえば、警備員の仕事が目の前にあるにもかかわらず、「希望する職種がない」とホームレスに陥ってしまう人もいるのではないだろうか。製造業の仕事を求め、昼間公園でパンを食べている元派遣社員の青年(と言っても30歳代)の姿を見て、そうした懸念を感じた。
そうした「自己責任論」に反論する形で、「派遣村」で一躍有名になったNOP法人もやいの湯浅誠代表は発言した。「雇用のミスマッチの犯人探しをする時代は終わった。今後は、円滑な産業間の人材の移転を進めるため、政府がそれを支援すべきだ」と。確かに、一方的な雇用打ち切りで住む場所を追いやられたり、本来加入すべき社会保険に加入できていないなど、非正規雇用者に対するセーフティネットが敷かれていないことは大問題だ。悪徳事業者の摘発や、しかるべきセーフティネットの整備は、今後も大いに強化すべきであろう。
しかしマクロ的に考えれば、今後も同じように製造業や事務職などの人気職種の募集が増えるなんてことはありえない。世界的な需要の減退、さらには円高(今までが円安すぎた、との指摘もあり)が当面続く中で、国内の製造拠点が閉鎖の動きがむしろ加速する一方だろう。事務職もしかり。IT化が浸透すれば省力化が進み、単純な入力業務は減り(海外にアウトソーシングしている企業もあり)、企業は付加価値を生む場所にのみ、人的資源を投入する動きが加速するだろう。
政府の支援も必要かもしれない。しかし我々を取り巻く状況を踏まえれば、一番大切なのは一人ひとりが自ら「Change」することではないだろうか。「ルビコン河を渡る」覚悟をもって。
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