「電機」全滅。
本日、2008年10月~12月のGDPマイナス幅が12.7%と判明、戦後最悪の不況に突入したといわれる現在の日本経済。その原因は、自動車産業や電機産業を中心とした輸出産業主体の産業構造が一向に変化しなかったばかりか、近年これら輸出産業が世界的好況(特に米国経済)の波の乗ったことによって、幸か不幸か日本経済復活の牽引役となってしまった、その反動が今モロに来ていると言える。
そんな輸出産業の中枢である一つである電機産業が、今期は軒並み赤字に転落の見込みとなり、”派遣切り”は言うに及ばず、来年度には”正社員切り”までもが現実のものとなりつつある。
今週の週間ダイヤモンドの特集は、その名もズバリ『「電機」全滅!』。この記事において、電機産業は”いくつかの誤算”があったと指摘する。その中で特に興味深いのは、メーカーが売りたい製品と消費者が欲しがる製品には乖離があった、具体的にはメーカーは36型以上の大型TVを売りたい、しかし消費者は32型以下に流れていった、とのこと指摘だ。
少なくとも小さな家屋に住んでいる日本市場において、40型を越える大型TVの市場がそんなにあるとは考えにくい。これら大型TVを購入するのは、映画マニアを除けば小さな文字が読みにくくなったお年寄り層に限られる、との指摘もある(ちなみに私も映画鑑賞が大好きだが、TVはハイビジョンながら20型で我慢、映画はもっぱらプロジェクターで投影して大画面を堪能している)。
今後のトレンドとしては、家族みんな揃って居間でTVを見るというよりも、(良いか悪いかは別として)個室で一人好きな番組やDVDを見る、という方が主流ではないか。そうであれば、むしろ20型前後のTVを10万円以下の手ごろな価格で購入したい、といった市場の方がはるかに裾野が広いと考えられる。
ところが、日本の家電メーカーは、こうした中型~小型のTVをつくっても余り儲からないので、利益率の高い大きなTVを売りたがっている。しかしそれはあくまで売り手の都合である。今や、いくらメーカーが売りたい製品であっても、消費者ニーズからかけ離れていては、いくらマスメディアで広告を流したところで消費者が飛びつく時代ではないのである。
先日のブルーレイレコーダーの話題でも指摘したとおり、消費者ニーズを十分踏まえることなく、日本の家電メーカーはお決まりのパターンとして高機能・高価格路線に邁進してしまう。「売りたいものを売る」のではなく、消費者が求めているもの「創って」・「作って」・「売る」、それでもなお利益が出る仕組みづくりを怠ってきたツケが、今ここに来て顕在化してきている、と言えるのではないだろうか。
未だに日本メーカーは、物不足の時代の消費者に新製品を供給するという、”プッシュ”型商法から脱却しきっていなかった。そして日本経済は、外需依存型・ものづくり産業依存型経済から脱却しきっていなかった。今は、そこから脱却するための生みの苦しみの時期に差しかかった、と言える。
今までの産業構造を前提に、「欧米の景気が回復すれば日本経済も回復する」といった期待を持つのではなく、「欧米の景気が回復せずとも、日本の経済を回復させる」、そのために何をすべきか、我々は真剣に考えていく必要がある。そのためには、成熟した消費者の心に潜むニーズをいかに捉えるか、が鍵となることは間違いない。
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