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2007年10月29日 (月)

NOVA、最悪の経営者

10月26日、NOVAの取締役会が代表取締役を解任し会社更正法の申し立てをした。

会社のあらゆる債権債務は保全管理人の管理下におかれる。そのため、一旦振り込んだ授業料もその債権に含まれるため、受講生たちは払い込んだ授業料の払い戻しの自由さえ効かない状態である。ところで、会社更生法や民事再生法下におかれた企業でも、従業員への給与は優先的に支払われるものである。どんな状況に置かれようと再建を担うのはそこで働く従業員であり、彼らの働きなくしては企業の再建は実現できない。もちろん賞与などの減額はあり得るにせよ、労働に対する対価を得る権利が労働者にはあるのだ。

ところが、である。NOVAの報道を見ていると、更正法の申請以前の2007年8月から、賞与支給の遅延が発生していたというではないか。従業員の給与を、期限どおりに支給できない会社、これはもう末期症状であったのだ。賞与支払い遅延から会社更生法の申し立てまで約3ヶ月、この間に一体経営陣は何をしていたのだ?さらに、6月28日には外部有識者による経営改革委員会が設置されたというのに、全く機能しなかったのであろうか?

気になったので最近の業績を見てみると、前々期に赤字転落、前期も2年連続で赤字となり、自己資本比率は急激に低下し、前期は5%と債務超過寸前。料金返還トラブルに伴う不祥事発覚は、キャッシュ不足に追い討ちをかけたわけだが、実質それ以前に経営基盤はガタガタだったようだ。かつて倒産を経験した吉野家は、米国からの牛肉の輸入がストップされた時、「売上がゼロでも2年間は給料が支払える」ほどの潤沢な財務基盤を整えていたこと、またそれを社員に知らしめたことでリストラの実施による優秀な人材の流出を防ぐことができた。NOVAのケースは全くその逆だ。

その後、経営者(代表取締役の猿橋望氏)は、抜本的な対策を打ち出せずにいたにもかかわらず、6月の株主総会で私がいなければ会社が成り立たない」と留任したという。なぜこんな言い分を市場は許してしまったのか?NOVAはJASDAQに上場しているパブリック・カンパニーである。ゴーイングコンサーン(存続し続けること)を義務付けられているあらゆる企業、ましてや上場企業の経営者は、自分がいなくても成り立つような体制をつくりあげることが責務として求められる。にもかかわらず彼は、自分自身がNOVAが「自分がいないと成り立たない会社」(本当は彼なしでも存続可能なのだが)の状態を維持し続けようとした。その結果が、過去最多の債権者を発生させた最悪の経営破たんを引き起こしたのである。一時、「物言う株主」である村上氏に対するバッシングの声が多かったが、「経営者の暴走」を防ぐための「物言う株主」や「市場の番人」は、今回は存在しなかったのだろうか?

29日追記:その後、元代表取締役である猿橋(さはし)望氏は、株が紙切れになることを事前に予測し、一族の保有比率を、わずか半月の間に7割超から2割弱に大幅に低下させていたことが判明している。創業時は高い志を持っていたかもしれないが、最後は自分の地位と財産だけが大切だったようだ。知れば知るほど、「経営者失格」、最悪の経営者である。

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