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2006年12月23日 (土)

経営は論理(ロジック)、そして芸術(アート)

12月21日、東京出張の行きの電車で、元SONY会長出井伸之氏による退任後初の著書『迷いと決断』を一気に読んでしまった。

アナリスト志望の学生が、ヨーロッパビジネス展開に携われるという魅力に惹かれ、東証一部に上場したばかりのソニーに入社、経済学部卒ながらオーディオ事業部長などを歴任後、大賀典男氏の言葉を借りれば”消去法”によって社長に任命されてしまった彼の”迷いと決断”の軌跡を本人が辿る、というものである。本人も認めているとおり、得意のアナリスト的素養を活かし、当時のソニーの問題点の分析と今後の進むべき道を明確に予見しながらも、文系生え抜き社長という微妙な立場や、自身の決断力・実行力不足によって後半は停滞を余儀なくされた、ということがよく判る。

技術系出身者でもなく、カルロス・ゴーン氏のようにしがらみがない外部から招聘されたプロ経営者でもない、中途半端な彼の出自が、現状のようなソニーの迷走の遠因と言えなくはない。そういった意味では、本日読んだ『武田家滅亡に学ぶ事業継承』で指摘されているように、一般には偉大なる経営者と言われている盛田昭夫氏や大賀典男氏も、後継者育成という観点からは一定の責任があったと言わざるを得ないだろう(=すべての責任を出井氏の力量不足に求めるのは一面的である)。

それはともかく、本書において私が非常に印象に残ったのは、オペラ歌手でもあった先代社長大賀氏に対する見方である。本書によると、『音楽家でもある大賀さんは非常にロジカルな考えた方をする人で、1+1の答えは2以外にはない、というタイプです。かかれた譜面を正しく読み解き、再現する音楽は、数学の範疇です。』と出井氏は述べている。

ここで思い出すのは、”宅急便”生みの親、ヤマト運輸の小倉昌男社長(故人)の言葉、「経営は論理である」という言葉である。大型運輸業への展開に遅れ事業が行き詰まった二代目社長小倉昌男氏は、民間企業ではどこも実現していなかった個人向けの宅配事業への参入を決意することになるが、その決断を促したのは、徹底した論理志向である。社内の幹部は今までの経験から、「上手く行くはずがない」と全員反対。これを小倉社長は徹底的な論理の詰めによって説得し事業化、当初は赤字が続いたが数年後には黒字化を実現、その後は同業他社による参入が相次ぎ「動物戦争」と呼ばれるまでの魅力的なマーケットにまで成長した。

業界は変わって、日本を代表する映画作家である北野武に言わせると、『映画も論理』だそうだ。一見、感性だけで創っているように見えるが、その裏には彼独特の論理的志向によってフィルムをつなぎ合わせ、(賛否両論はあるにせよ)魅力的な作品を作り上げている。ちなみに彼は明治大学工学部に入学したが、入試で数学は満点をとったらしい。才能を花開かせるための最も重要なファクターは、実は論理的志向であるようだ。

さらに突っ込んでゆくと、『国家の品格』で有名な数学者、藤原正彦氏に言わせれば数学における大発見をもたらすものは最終的には”感性”らしい。彼以外にも、『数学はアート(芸術)である。』という話を度々聞く。こうして考えると、経営とは論理(ロジック)であり、芸術(アート)である、といえるだろう。

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